さて、どのようにダメだと言っているのか、レポートに当たってみよう。

 投資信託ビジネスの手数料稼ぎを問題視する姿勢は、金融庁において、昨年から明確だ。今年のレポートでも、p60「規模(純資産額)の大きい投資信託の概況」として、日米の純資産額の大きな投信上位5銘柄の属性を表にして比べて、日本の投資信託の手数料がいかに高いかを際立たせて見せている。販売手数料は、日本が平均3.20%、米国が0.59%である。また、信託報酬は日本が平均年率1.53%、米国が0.28%だ。また、親切にも過去10年平均の収益率が載っており、日本は−0.11%、米国は5.20%、つまり、日本の大型投信は手数料が高くて、収益率が悪いのだから、全くいい所なしだと印象づけられている。

 米国の大型ファンドにインデックスファンドが多いことを知っていての比較であるから、金融庁も意地悪と言えば、意地悪だ。しかし、この意地悪は、投資家にとってそのまま「親切」であり、金融庁が指摘する「特定の種類の資産(特定の国の不動産、特定業種の株式等)に限定した、テーマ型のアクティブ運用商品」のようなものを買ってはいけないことが分かる。

 また、「銀行における投資信託販売の状況」(p62)の項目では、「銀行においては、ここ数年、投資信託の販売額や販売手数料等の収益は拡大を続けている一方、投資信託の残高は伸びていない」という事実を指摘し、「今なお、いわゆる回転売買が相当程度行われていることが推測される」と解釈し、「投資信託が短期的なリターンを狙う回転売買の商品として使われ、長期的な資産形成に資する商品としては十分活用されていないといった状況」だと嘆いている。

 仰るとおりと言うしかない。

 もっとも、日銀のマイナス金利政策の影響で、銀行は投資信託販売による手数料稼ぎにいっそう傾斜する可能性があり、今後、販売額・手数料・残高の全てが伸びるような事態にならないとも限らない。個人にとって、マイナス金利政策の最大の弊害は、悪質な投信の販売(加えて悪質な保険の販売)に拍車が掛かることだろうと、筆者は心配している。

(1) 毎月分配型投資信託

 毎月分配型投資信託に対して、金融レポートは、本文中で直接ダメだと名指ししている訳ではないのだが、金融庁が、「営業現場における販売姿勢」を説明するために掲げているアンケート結果のグラフ(p64)とその説明を見ると、意図は明らかだ。

 アンケート結果について、以下のように説明している。「顧客の運用方針にかかわらず、販売会社は、主として収益分配頻度の高い商品を提案しているとの結果となった」(p63)、「一般に、利益を分配せずに再投資する方が投資効率は高くなるとされている。当面現金を必要とせずに中長期での資産形成を考えている顧客も含め、一律に収益分配頻度の高い商品を提案する場合が多いということは、販売会社において、必ずしも顧客のニーズに沿った対応が取られていないことの一つの証左ではないかとも考えられる」(p63)。