時代の変化に対応できる企業しか
生き残れない
小山:私は、消費税が5%から8%に上昇した2014年4月1日以降、中小企業経営に関するパラダイムシフトが起きたと考えています。
消費税が8%に上がったことで公共投資が増え、それに応じて雇用も増えました。
にもかかわらず、人口は減少しているため、労働力の奪い合いになっています。
今までは、人が辞めたら採用すればよかったのですが、これからの時代は、人が辞めたら次が採れない。
ということは、「人が辞めない会社」をつくる必要があるわけです。
それに、新卒社員のトレンドも変わってきていますね。
神田:どのように変わってきているとお考えですか?
小山:今の若い人は、「給料よりも休日」を優先する傾向にあります。
残業や休日出勤の多い会社は、学生にとって不人気企業ですし、残業や休日出勤が多いと、離職率を高める原因になります。
これは、私の印象で言っているのではなく、毎年、学生を対象に行っている適性テストの結果からも明らかです。
それから、ストレス耐性が弱いことも若い人の特徴です。
以前、コーヒーショップで、こんな光景を見たことがあります。
4人の学生が一緒に席についているのに、ひと言も会話を交わさないで、それぞれがスマホの画面を見ていたのです。
ひとりでいるのはさびしい。けれど、口を聞くとストレスになる。だから口をきかないわけです。
神田:ということは、「人が辞めない会社をつくる」こと、そして「ストレス耐性が弱い社員を戦力化する」ことが、これからの中小企業の課題である、ということになりますね。
小山:武蔵野が、残業問題に取り組んでいるのも、社員同士のコミュニケーション量を増やしているのも、変化に対応するためです。
中小企業に変化をつくり出すことはできません。
けれど、変化についていくことはできる。
時代が変わっている以上、今までと同じやり方や同じ考え方では、世の中についていけません。
世の中の変化に合わせて経営の舵取りを変えることができる会社が、勝ち残る。これは間違いないと思います。
(終わり)