在日韓国人は日本で教育を受け、韓国語をほとんど話せない者も多い。韓国語を話せても発音は日本的になってしまう。私の知る在日韓国人で、韓国で音楽活動をしていた人は、自分の名前も正確に韓国の発音ができなかった(音楽家で耳はいい筈なのに、である。それだけ韓国語の発音は複雑である)。韓国本国の人々は、在日が韓国人でありながら韓国語ができないことに違和感を感じている。したがって親しみも半減するのであろう。

 加えて、韓国の若者はいま不況に苦しんでいる。韓国の統計庁の2016年2月の調査によると、韓国の若年失業率は12.5%、首都ソウルでは3割が失業中とのデータもあるようである。韓国では「7放世代」ということが言われている。韓国の若者は、恋愛、結婚、出産、マイホーム、人間関係、夢、就職を諦めたというのである。それは要するに人生を諦めたと同意でもある。

 それだけ社会に対する不満が鬱積する中で、在日は2012年に兵役法が改正されるまで、兵役が免除され、祖国に貢献しないで、与えられた特権に安住する者との見方が残っている。在日韓国人が長年日本社会の中で就職や社会保障などの面での差別に苦しんできたことは知らず、現在の自分たちの置かれた状況より在日の方が恵まれているとして、在日を叩いている面もあろう。

日本での安定した生活基盤を
在日韓国人は求めている

 在日韓国人は韓国では「在日同胞」と言われている。しかし、在日韓国人は文化的、心情的に日本により近い者が多く、生活習慣、モノの考え方が韓国人的ではないと見られている。こうした傾向は今後ますます助長されていくであろう。その結果、在日韓国人は必然的により日本に近づいていくことになる。

 今後とも、日韓関係が悪化する場面はあるかもしれない。しかし、私は、在日韓国人は日本の韓国の政治に対する怒りの対象となるべきではない、と考える。在日韓国人は日本において安定した生活基盤を求める人々である。

 日本は今後ますます少子高齢化が進んでくる。そうした中で、在日韓国人は日本人の生活文化や心情に最も近い人々である。将来、ともに協力していくべき人々であり、その多くは将来日本人ともなり得る人々である。

 2015年の在日韓国・朝鮮人は45万7772人で、35年前の68万1838人から22万4066人減少している。反面、2013年9月末の韓国・朝鮮系日本人は34万5774人である。在日韓国・朝鮮系から日本に帰化する者の数は95年に1万人を超えたのを皮切りに年間で毎年9000~1万人に上っている。2006年、韓国・朝鮮籍所有者と日本国籍者の婚姻件数は2006年が8376人、2014年が4113人などとなっている。

 在日韓国人の組織である大韓民国民団は、在日韓国人に対する地方参政権付与を求める運動を活発に行っている。