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「マネジメント・サイエンスは物質を研究するための数学的な手法のいくつかが、企業活動にも適用できるかもしれないという発見に有頂天になったあげくにスタートした」(『マネジメント【エッセンシャル版】』)
マネジメント・サイエンスの仕事のほとんどが、企業とは何か、マネジメントとは何かに関心を払わずに進められたとドラッカーは指摘する。
関心はもっぱら「この見事な手法を適用できるのはどこか」だった。
マネジメント・サイエンスが約束した仕事を行なえるようになるには、企業についてのいくつかの基本的な事実を自らの基準とすることが必要である。
第1に、企業は最強最大のものであってさえ、社会や経済の力によって簡単に消滅させられる存在だということである。
第2に、企業は単に物や考えを生み出す存在ではなく、人が価値ありと認めるものを生み出す存在だということである。
第3に、経済的な活動とは、現在の資源を不確かな未来に投入することだということである。企業にとっては、リスクを冒すことこそが基本的な機能である。
「マネジメント・サイエンスが有効たるには、現実のマネジメントの前提、目的、考え、あるいは間違いまで事実として扱わなければならない。それらの事実の研究と分析こそ、マネジメント・サイエンスが意義ある成果を上げるためにまず取り組むべきことである」(『マネジメント【エッセンシャル版】』)