名称は正確に!
「秘密数式」でなく「基本公式」

 最新号の『週刊ダイヤモンド』(2016年10月22日号)は「退職金・年金」特集だ。「知りたくなかった禁断の数字」というコピーが付いており、今まで知られることの少なかった会社別の退職金の具体的な額などが載っていて興味深い。記事を読むと、退職金はバラツキが拡がっており、会社によって大きな差があることが分かって興味深かった。

「知りたくなかった禁断の数字」という意味では、特集のパート1の冒頭で取り上げていただいた筆者とFP(フィナンシャルプランナー)の岩城みずほ氏が解説する「手取り年収のうち、いくら貯蓄すべきか」を求める公式で算出する「必要貯蓄率」(さらに具体的に必要貯蓄額)もこれに該当するかもしれない(巻末の担当編集者のあと書きを見ると、確かに知りたくなかったのはむしろこちらの数字のことだったようだ)。

 必要貯蓄率の求め方は、8月17日付の本連載「今いくら貯蓄すべきか一発で分かる『人生設計の基本公式』」でご紹介した。今回の特集で説明されている数式はこれと同じ内容のものだ。老後に現役時代の何%の生活をしたいかに対して、現役時代に必要な貯蓄率を計算する。

 ただ、一つ解せないのは、この式の名前が「資産形成の秘密数式」となっていることで、便利な式としてご紹介いただいたことは大変ありがたいのだが、正しい名称は「人生設計の基本公式」だ

 そもそも我々の命名は(命名者は岩城氏の方だが)「人生設計の基本公式」で、取材でも、そう言ったはずなのだが、取材者の思い込みでネーミングが変わってしまったのだろう。しかし、これは資産を形成する方法の計算式ではないし、全てはオープンであり「秘密」などどこにもない。お金の人生設計の基本になる数字を明け透けに計算する、計画性の基本となる算式に過ぎない。週刊ダイヤモンドの記者がダイヤモンド・オンラインを読んでいないということはよもやあるまいと思うのだが、取材を受けると時々こうした不思議なことがある。

 せっかくの記事だが、いかにも不適切な名称なので、「人生設計の基本公式」が正しいと訂正しておく。