そこで私がやったことは、スタッフの営業活動に毎日同行することでした。彼らと一緒にお客様のところに行き、商談の様子を見て、その道中では積極的にいろいろな話をするようにしました。
その際、私が気をつけたことは、決して否定しないこと。彼らが落ちこぼれのようになってしまったのは、否定され続けたからではないかと考えたからです。
私は彼らの意見ややり方を尊重し、時には褒めて、時にはねぎらいをして、なるべく否定せずに自由にやらせるようにしました。
そうこうしているうちに心が通じ合うようになり、徐々に成績が上がってきて、それぞれのメンバーが営業として独り立ちできるくらいに力を付けてくれました。
リーダーは「人を育てる」しか選べない
せっかく成長させてあげようとしているのに、リーダーの言うことをまったく聞かないスタッフがいるとします。あなただったらどう感じますか?
1.クビにしたい
2.自分の言う通りにさせたい
3.そんな部下でも育てたい
本心では、誰でも1か2を選びます。でも実際には、リーダーには3の選択肢しか選べません。
1のように、気に入らない部下をクビにしたいと考えるリーダーはたまにいますが、中間管理職にそんな権限はありませんし、上司や経営者に申し入れたとしてもそれが実現することはないでしょう。なぜなら日本では解雇に関する法律上の規制が非常に厳しく、滅多なことでは解雇できないからです。
次に2ですが、リーダーが「何とかして自分の言うことを聞かせてやろう」と高圧的な態度をとったとしたら、それこそ逆効果で部下は言うことを聞いてくれなくなります。2のような考えも非現実的です。というわけで、リーダーに唯一できることは3しかないのです。
もし辞めさせたくなるような部下や、自分の言うことをまったく聞かない部下がいたとしても、それがリーダーにとっては大切な持ち駒です。立派な戦力として育てるという覚悟を決めるしかないのです。