インターネットで物件情報が簡単に手に入るようになった現在、後悔しない住まい探しのポイントも大きく変わってきている。住宅情報誌主流の時代から不動産市場を見続け、現在、「マンション評価ナビ」サイトを運営している住宅評論家・大久保恭子氏に、住まい探しの現代流のポイントを聞いた。

ポイント1
マンション、戸建ては価値観で選択する

 買うなら戸建てかマンションか──シングル、DINKS、そしてシニア層には、マンションのほうが安心してお勧めできると、大久保氏は言う。

おおくぼ・きょうこ
1979年、リクルートに入社し、87~96年まで『週刊住宅情報』の編集長を務める。『女性のための住宅情報』『ほしいリゾート』などの創刊も手がけ、同社初の女性執行役員を務めた後、2003年、日立キャピタルに転職し、リフォームローン等のマーケティング担当役員を務める。 05年、独立して株式会社・風を設立。住宅情報サイト『マンション評価ナビ』の企画・運営や、マンション・戸建ての商品開発のプロデュースなどを手がけている。

「どちらを選ぶかは価値観の問題。利便性なら、やはりマンションが上。通勤・通学や買い物に便利な都心に近い物件も多い。おまけに、維持・管理も管理会社にすべて任せてしまえる。一方、それよりも、豊かな自然に囲まれて暮らしたい人、隣を気にせず子どもを伸び伸び育てたい人は、戸建てを選ぶといい」

 ただし、マンションにも問題がないわけではない。それは、ほとんどのマンションが、いずれ耐用年数を迎えることだ。

「築40年、50年といった建物が増え、建て替えが必要な物件は多い。しかし、実際に建て替えられたのは、全国で約150棟。たとえば、建て替えによって容積率が3倍になり、資産価値が大幅に上がるという場合でもなければ、建て替えの合意形成は極めて困難なのが実情」(大久保氏)

 つまり、マンションは、長期的には建物の価値が資産として計算しづらい。不動産に資産性を求める人なら、土地の価値が残る戸建てのほうがいい。

「家賃並みの支払いですむなら、借りて住むより資産として残る分譲マンションのほうがいい、というのは間違い。耐用年数が近くなれば建物の価値はゼロになるし、建て替えとなれば、相応の費用が必要になる」(大久保氏)