不動産Gメンこと滝島一統さん Photo by Motoyuki Ishibashi不動産Gメンこと滝島一統さん Photo by Motoyuki Ishibashi

「株式投資より安定している」「節税にもなる」「老後の備えになる」――不動産投資に関心を寄せるビジネスパーソンは少なくありません。経済不安や年金不信が広がる中、会社員としての収入だけに頼らず“資産を働かせる”手段として、不動産投資に注目する40〜50代が増えています。ポストに投函される「このマンションを買いたい人がいます」のチラシ。不動産価格の高騰が続くなか、少しでも有利に売却したいと考える人にとっては、気になる情報でしょう。しかし、その“好条件”の裏には、思わぬ落とし穴が潜んでいることも。長年にわたり業界の裏側を追ってきた不動産Gメン・滝島氏が、その実態に鋭く切り込みます。(構成/ダイヤモンド・ライフ編集部)

不動産投資は「事業」扱い
ダマされても法律は守ってくれない

 初回の記事(不動産投資で「うっかりダマされる人」と「ちゃっかり億る人」のたった1つの違い【不動産Gメン滝島氏が解説】)で素人の方が本業の片手間で儲かるようになるのは、かなり難しいとお話ししました。それを専門にしている不動産のプロとの戦いになるわけですから、本来は事業レベルでやらないといけません。

 ちなみに、法律上は不動産投資は「事業」なので、失敗したとしても「ダマされた」とはならないんですよ。「いや、あなたはわかってて買いましたよね」「損したのは事業に失敗しただけですよね」というロジックです。

 確かに、あれだけ契約書にサインやハンコを押すから、てっきり法的に守られているなどと勘違いしてしまうのも無理はないかもしれませんが……。

 なので、仮に詐欺まがいの手口でダマされたと感じても、それが補償されることはなくて、泣き寝入りするしかないんです。別の回でも話しますが、ワンルームマンション投資などはその典型例です。ダマされたのではなく、事業に失敗したと解釈されます。