“残念な騙せず枠”とはこれだ!
ん? よくある広告じゃない? どこがおかしいの? と思ったあなたは要注意。
“残念な騙せず枠”とは、ズバリ、派手で目立っていること、動きがあること、キャッチコピーが立っていない枠のことである。
要するに広告っぽい、ひと目で出稿している媒体のコンテンツとなじんでいない原稿デザインが残念な枠をつくりだしている。
だから、このクリエイティブを見て、「よくある広告じゃない?」と思った読者は、いかにこの“残念な騙せず枠”ばかりが世間にあふれているかを再認識することができるだろう。
【残念な騙せず枠の3要素】
・派手で目立つこと
・動きがあること
・キャッチコピーがあいまいなこと
何度も繰り返すが、消費者はネットを使って情報を求めている。
だから、自分に関係のないと判断した情報は、本能的に視界から外すという「バナー・ブラインドネス現象」が起きている。
よって、現在のネットにおいては、派手にクルクル動きがあり、オシャレにイメージっぽくアピールする意図でデザインしたディスプレイ広告ほど無視されるという皮肉な傾向にあるのだ。
なのに、多くのクライアントはいまだにそれに気づかず(もしくは広告マンがあえて気づかせず)、一番重要なキャッチコピーがないがしろにしたまま、とにかくデザインをいかにカッコよく見せるか、いかに目立たせられるかにばかり注目し、イメージ型の派手な動きのディスプレイ広告を掲出して消費者に無視され続けている。
ぶっちゃけ、騙すどころか、むしろ視界にすらはいってない。
不快指数でいうと、ゼロ(見えてない)~マイナス(うざい)だ。
次に、気持ちのよい騙し枠の例をみてみよう。
“気持ちの良い騙し枠”とはこれだ!!
気持よく騙す方法は、ズバリ、動きをなくし、キャッチコピーをメインにすることだ!
そして、なるべく出稿している媒体のコンテンツとなじむクリエイティブにするべきである。
【気持ちのよい騙し枠の3要素】
・動きがない
・キャッチコピーが立っている
・媒体のコンテンツとなじんでいる
要するに情報っぽい、もっと言うと、“コンテンツ風”の広告原稿を制作することである!
動きがなく、キャッチコピーが立っており、媒体社のページとなじんでいれば、消費者は本能的に無視しなくなり、広告を見てくれる。
また、動かないキャッチコピー、つまり動かない文字は、「広告だ」と思っても無視できない。無視するより先に内容が頭に飛び込んでしまう。
もっと極論なことをいうと、モノクロのテキストとロゴだけでもいい。
比較してみると以下のようになる。
▼動きがある目立つクリエイティブ(右上に注目)
▼モノクロテキストのみのクリエイティブ(右上に注目)
これは極論だが、後者のほうがストレスなく目に入らないだろうか?
動く派手なデザインから、コンテンツ風のデザインにするだけで、バナー広告のクリック率は大幅に上がる!断言する。必ず上がる!
こう言うと、“意識の高い”ネット広告マンは「こんなのクリエイティブじゃない」と言うだろう。
だからもう一度言う。
出稿するクライアントが求めるもの。それは、今までもこれからもズバリ
『レスポンス』
『売上』
『費用対効果』
この3つだ!!!
ネット広告マンのエゴを満たすことではない。
アート性のないクリエイティブのほうがCPA/CPO効果が高いなら、そうするべきだ。
ネットユーザーを理解し、ネット広告が無視されることを前提に戦略的な広告原稿をプラニングすると、劇的にクリック率は上がる。
消費者の心理状況をよく理解すると、0.1%のクリック率を2倍の0.2%にすること、4倍の0.4%にする事はそんなに難しくはない。
今までとは比べものにならないほどのクリック数を稼ぐことができるのだ。
これを今、目にしている読者の中には、
「コンテンツ風のクリエイティブなんてダサすぎ。はいはい、どうせレオメソッドを売りたいだけでしょ」
という人もいるかもしれない。
特に広告はクリエイティブだ、アートだと信じて疑わない、ネット広告マンならなおさらだ。
しかし、その証拠に“気持ちの良い騙し枠”はスマホ広告でも爆発的に成長中だ!
なじませ広告、いわゆるネイティブ広告というやつだ。
ネイティブ広告とは、掲載するメディアの特性に合わせて、そのメディアになじんだ広告を配信する広告手法で、画像と本文のデータをクライアントからもらって、メディアが自由に組み合わせることができるのが売りだ。
今までネイティブ広告というと、上記のような記事アプリで、記事と記事を差し込むくらいにしか利用されていなかったが、バナー広告枠しかないゲームアプリやツールアプリにもその動きが広まっている。
そのほうが効果は高いのだ。
だから動きの早いアプリ業界は、クライアントに喜んでもらえるよう、メディア側が工夫し積極的に取り入れている。
Facebookが、アプリ広告に強い日本のSSP「Ad Generation(KDDIグループ企業)」と、世界で初めて提携し、ネイティブ広告に本腰をいれていることも、効果の高さを示している(記事ソース https://supership.jp/pdf/20151130_adgeneration.pdf)。
フッター枠で例をあげてみると、左が通常のバナー広告。
対して、右も一見バナー広告っぽいが、バナー広告のエリアを自社キャラクタ+自由レイアウトのネイティブ広告で、なじませている。
実際見てみてどうだろうか。
左は広告が目に入らない、もしくはうざくないだろうか?
対して、右はストレスなく目に入ってくる。
気持ちよく騙すということは、余計なストレスを与えないということだ。
アプリ事業は基本的に後発産業であることから、クライアントが喜ぶ工夫への対応が格段に早い。
このように、アプリの世界で気持ちよい騙し枠(=ネイティブ広告)が結果を出しているということが、これからのネット広告業界の未来を物語っている。
広告代理店はネット広告の領域において、この10年間、ユーザーに対してある種気を遣ってきた部分が大きいが、これからはクライアントに気を遣うべきである。
バナー広告がクリックされランディングページに訪れる母数が多いほど、間違いなくコンバージョン数は多い。
バナー広告とネイティブ広告について比較した調査では、「消費者はディスプレイ広告よりも53%高い頻度でネイティブ広告を見ていた」という結果も出ている(記事ソース http://www.opt.ne.jp/column/social/detail/id=2379)。
気持ちよく騙すことでクリック率が上がるなら、ネット広告マンはそうすべきなのだ。
誰がなんといおうと、
クライアントにとって「効率がよい広告」が一番!
もう一回問うが、このサイズ、このレイアウトの枠売りのみで、ネット広告マンはクライアントを満足させられるだろうか?
派手で目立つ今までのクリエイティブで、クライアントを満足させられるのだろうか?
ネット広告業界が過渡期を迎えている今、本気でクライアントの費用対効果を上げていかないとネット広告業界に未来はないと思う。
だからこそ、ネット広告マンは、「クライアント目線」で広告枠・クリエイティブを再度よく検討してほしい。
以上、ネット広告業界自体の問題点と、“気持ち良く騙すテクニック”について述べてきたが、いかがだっただろうか。
バナー広告に関しては、とにかく【A/Bテスト】を繰り返し、徹底的に『クリエイティブ最適化』していく必要がある。
ちなみに売れるネット広告社では“バナー広告IDEA100選”を通販会社の責任者限定で無料進呈している。
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加藤公一レオ(かとう・こういちれお)
株式会社 売れるネット広告社
代表取締役社長。1975年サンパウロ生まれ。ロサンゼルス育ち。西南学院大学経済学部卒業後、三菱商事入社。その後Havas Worldwide Tokyo、アサツーディ・ケイ(ADK)で一貫してネットビジネスを軸としたダイレクトマーケティングに従事。担当した全広告主のネット広告が大成功。「レスポンスの魔術師」と呼ばれる。2010年、売れるネット広告社を創業。やずや、味の素、エーザイ、オークローンマーケティング、花王、興和、サンスター、JIMOS、日清食品、ハウス食品、はぴねすくらぶ、森永乳業、山田養蜂場、ライオン、ロート製薬、アサヒフードアンドヘルスケアなどの大手通販から中小通販まで、企業数を絞り限定コンサルティング。広告・マーケティング業界のオリンピックと称される「アドテック」で3年連続日本一になる。神田昌典氏主催「マーケティング白熱会議」のゲストスピーカーにも登壇。100%事実のみ・仮説は一切なしのセミナーは、他を圧倒するパフォーマンスと大好評。著書に、『単品通販“売れる”インターネット広告』(日本文芸社)がある。
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