◆図1 PISA国際学力テストにおける日本の成績の推移

©本川裕 ダイヤモンド社 禁無断転載
拡大画像表示

成績の良い東アジアに欧米も脱帽

 現在の成績レベルとこれまでの成績の動向を、海外諸国と比較しながら分析する必要がある。

 世界の学校生徒の学力状況を概観するため、三科目の平均点について、昨年行われたPISAテストの成績(上下のY軸)とこれまでの3年おき6回までの成績向上度(左右のX軸)の両面からあらわした散布図を次ページの図2に掲げた。前出の図1でもうかがえるように日本の場合、浮き沈みがあるが、6回を通した上昇幅(各回の得点に当てはめた回帰直線の傾き)では、年平均0.16点の若干のマイナスとなっている。

 まず、現在の学力レベルをあらわすY軸方向では、東アジア諸国の好成績が目立っている。東アジア諸国は三科目平均で520点以上の国がほとんどであり、その他の地域ではフィンランド、カナダ、エストニアが同レベルに達しているのみである。

 中国は、前回までは上海だけが参加し、世界一の成績だったのであるが、今回は、北京、江蘇、広東を含めた4市の成績として公表されることとなった。このため三科目平均は514点と韓国の519点を若干下回る水準となっている。

 東アジア諸国の生徒の世界トップ水準に対しては欧米諸国も脱帽状態であり、何らかの参考にしようにも教育政策が左右できる余地は小さいという意見まで出ているという。つまり、国の教育政策より家庭教育や文化によるところが大きく、「PISAから得られる教訓は、東アジア以外の世界でも箸を使うべきだということだとおどけて論じる者もいたぐらいである」(英「エコノミスト」誌2016.12.10号)。

 確かに、家庭・学校・社会を通じて、学校の勉強を重視する儒教の文化的伝統の存在を考慮に入れないと、こうした東アジアでの好成績は理解できないだろう。

 東アジア諸国に次いで、欧米OECD諸国が、スロベニアからギリシャまで、510~460点ぐらいの比較的狭い成績範囲に集中して分布している。そして、その他の南米、アジア、アフリカ諸国が460~360点の広い範囲に分布している。