仮に公的行為が許されないのなら、その種のことができなくなってしまう。そこで、国は国事行為「のみ」というのは、国事行為以外を禁止しているわけではないという解釈をしている。

 さらに、国事行為、公的行為のほかに、私的な行為(政府は「その他の行為」と呼ぶ)がある。

 その一つが、天皇が古式装束を身に着け、皇居内にある神社のような建物の宮中三殿で国家の安寧と国民の幸福を祈る宮中祭祀だ。戦前は最も重要な国家行事とされたが、戦後、現行憲法の下では政教分離の原則から、皇室の私事と位置付けられている。

 だが、皇室では現在も他に優先されるものとされ、年間約30の祭典がある(現在、高齢の陛下の負担軽減のため、お出ましの祭典を重要なものに絞っている)。宮中三殿には冷暖房がなく、真夏や真冬に古式装束での祭祀はかなり負担になると思われる(暑いから薄着にするとか寒いから1枚余分に着るなどということはない)。

 このように、天皇の公務を考える際には、国事行為と公的行為、さらには私的行為の祭祀なども含めて見なければ正確な量は分からず、学校教科書で習うイメージとは大きく異なってくる。まずは、三つの行為があることを覚えておいてほしい。