「もし僕に何かあったら、妻は僕の父や母の面倒を見てくれるだろうか」
2017年早々、先行きが不透明すぎて思わず、そんなことが頭をよぎったことはありませんか?これは過去に大病を経験した人に限らず、誰しも起こり得る心配事の1つです。今までの結婚生活を少し振り返ってみてください。わがまま放題に振る舞ってきて妻に迷惑をかけたり、(夫の)母が癇癪持ちで妻と折り合いが悪かったり、仕事人間で家庭を顧みず、両親のことを妻に任せっきりだったり……。胸に手を当ててみてください。少しでも心当たりがあれば、未亡人の妻が夫の両親と縁を切って、家を出て行き、両親の介護を放棄しても不思議ではないでしょう。
ところで離婚と死別の違いは何でしょうか?盲点になりがちなのは「亡夫の両親との関係」です。血のつながっていない親戚関係のことを法律上、「姻族」と呼びますが、離婚の場合、離婚届を提出すれば、夫と妻の関係だけでなく、妻と夫の両親の関係も同時に消滅します。
夫と死別し、義父母との
「姻族」を解消するには?
一方、死別の場合は夫が亡くなっても妻と夫の両親は「姻族」のままです。もし、世話をしたり、面倒をみたり、介護をしたりするのが嫌で、義理の両親との関係を完全に断ち切りたい場合、どうすれば良いのでしょうか?
役所には「姻族関係終了届」という届出があります。この届出用紙に記入し、役所に提出することで、正式に夫の両親との縁が切れます。夫の両親の承諾は必要なく、妻が単独で行うことができます。法務省の統計によると「姻族関係終了届」の届出件数は、10年前と比べ1.5倍も伸びており、夫の親戚とのしがらみを断ちたいという妻が増えていることの表れでしょう。