サーバ、ストレージ、デスクトップパソコン、インフラなど、企業システムを構成する資源(リソース)の仮想化が、世界中で急速に進んでいる。推進役を務めているのは、仮想化/クラウドプラットフォームベンダー「VMware」だ。成長著しい同社の日本法人ヴイエムウェアの三木泰雄・社長に、仮想化からクラウドに至る技術がビジネスにどのようなインパクトを与えるかを聞いた。

――世界中の企業がこぞって導入する「仮想化」には、どのようなメリットがあるのか。

 仮想化により、サーバ、ストレージ、デスクトップパソコン、インフラなど、企業システムを構成する資源(リソース)を、その物理的な構成にかかわらず、柔軟に統合したり分割したりすることが可能になる。

「投資の7割が現状維持のため」からの脱却<br />ITをいかに競争力に変えられるか三木泰雄
ヴイエムウェア 代表取締役社長

 現在、どの企業も膨大な台数のサーバやストレージを抱え、IT投資の約70%をその維持・運用に取られてしまっている。仮想化を用いれば、社内に散在していた膨大な数のサーバやストレージを統合して効率よく動かして、物理的な台数を減らし、リソースの有効活用とコスト削減を実現できる。

――仮想化の進展とともに、VMware社の売上も大きく伸びた。いまや仮想化アプリケーションの8割以上が、VMwareのプラットフォーム上で動いているともいわれる。1998年にベンチャー企業として出発したVMware社が、成功を遂げた原動力は何か。

 第1は、囲い込みをすることなく、オープン・コミュニティの力を信じてきたことだ。他システムと連携する部分のプログラムは公開し、パートナー企業がもつソリューションと連携している。ユーザー企業に勧めるクラウドについても、「うちの“My Cloud”を採用してください」ではなく、「あなたの企業独自の“Your Cloud”構築をお手伝いします」というのが基本姿勢だ。

 第2が、製品自体の機能の高さと考えている。定期的に行っている顧客満足度調査では、導入した企業の満足度も高い評価をいただいた。基幹システムを動かすクラウドのデータセンターも、安心して構築できる。

 そして第3が、将来ビジョンを明確に持ち、公表していることだ。VMware製品は、サーバ、ストレージ、セキュリティ、インフラと機能を拡大し、パートナー各社との連携によりクラウドコンピューティングの領域を完全にカバーするに至った。次に目指しているのはエンドユーザーコンピューティングだ。

 スマートフォンをはじめとするさまざまなデバイスをシームレスに使って、好きな時に好きな場所からネットワークへアクセスできるようにしたい。ユーザー企業は、そうしたデバイスフリーな環境づくりまで念頭に置いたうえで、今日の仮想化/クラウド化を進めることが可能になる。