野球、サッカーの強豪校のほか
屋内遊びで普及した意外なスポーツ

 豊かな文化が根付いている一方で、スポーツ関連では少しユニークな特徴を持っているのが石川県だ。

 石川県出身のスポーツ選手といえば、なんといっても松井秀喜氏。星稜高校卒業後、読売ジャイアンツ、さらにニューヨーク・ヤンキースでの世界的な活躍は説明するまでもないだろう。出身地である能美市には松井秀喜ベースボールミュージアムがあり、「石川県民なら一度は行ったことがある」(金沢市出身の40代男性)という。

 星稜高校はスポーツの名門として全国的に知られ、プロサッカー選手でACミラン所属の本田圭佑も輩出している(本田自身は大阪出身だが)。

 となると野球とサッカーが人気なのかと思ったが、県民に親しみのあるスポーツを聞くと、意外なスポーツの名前があがった。

 トランポリンと相撲だ。

「金沢は『弁当忘れても傘忘れるな』と言われるほど雨が多くて、室内で遊ぶことが多かった。小学校の体育館にはトランポリンがありました」(金沢市出身の女性)

 ちなみに雨の多さに比例してか雷も多く、石川県の落雷の多さ(年間雷日数)は全国一。雷が鳴ると雪が降る、というのが常識で、雪が降る前の雷は「雪起こし」「雪おろし」と呼ばれる。雷が鳴っても誰も驚かずみな平然としているという。

 室内での活動は自然と多くなりそうだが、トランポリンは、単なる娯楽としてだけでなく、スポーツ種目として広まっている。オリンピック選手も輩出するほどで、リオ五輪日本代表の中野蘭菜は金沢市出身。4歳から市内のトランポリン教室に通っていたという。

 一方で石川県は「相撲王国」としても有名だ。

 北國新聞社などが主催する「高校相撲金沢大会」は毎年金沢市で開かれ、90年の歴史を誇る。「金沢大会」という名前ではあるが、これはすなわち全国大会で、全国から精鋭たちが参加する。

「土俵のある小中学校も多く、穴水町出身の遠藤関は、石川のヒーローです」(金沢市出身の40代女性)。

 ちなみに高校3年時の男子の平均身長は171.8cm(2015年)と全国2位の高さだ。

 スポーツに関連して、紹介を忘れてはいけないのが、「若い力」という歌だ。「若い力と感激に 燃えよ若人 胸を張れ」というフレーズを聞けば、体が勝手に動くという金沢市民。取材時も2人の女性がそろって踊って見せてくれた。

 この曲は国体の大会歌で、戦後、地方初の国体(国民体育大会)が開かれたのが石川県だった。以来、金沢市内の小学校では運動会で踊るのが恒例で、毎年練習するのだという。YouTubeを検索すれば、一糸乱さず「若い力」を踊る小学生たちの動画が見られるので、探してみてほしい。

口の中の喉のあたりが黒いため「のどくろ」とも呼ばれている赤むつ

 ズワイガニ、ぶり、あんこう、牡蠣など海の幸に恵まれている石川県。北陸新幹線開通により、

「魚介類の値段が高くなった。のどぐろなんて、以前は普通に食べていたのに、いつの間にか高級魚の扱いになってしまった」

 と嘆く声も聞かれたが、需要が増えれば値上がりするのは市場の原理。観光客は増える一方で、兼六園の入場者数は2014年の197万人から2015年は289万人に、金沢21世紀美術館は同じく168 万人から220万人へと増加した。

 新幹線がもたらした金沢バブルは、まだまだ止みそうにない。

(ライター/高橋有紀)