確信のある人のほうが、正しいことを言う人よりも、皆の心を動かす
佐々木圭一公式サイト: www.ugokasu.co.jp www.facebook.com/k1countryfree
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佐々木 トップリーダーって、そういう資質が必要だったりしますよね。間違えているかは置いといて、まずは決めるからみんなついてこい、みたいな。
中野 さすが佐々木さんだなと、今思いました。…ある非常に興味深い実験をご紹介しますね。AさんからDさん、4人の被験者を用意して、皆に数学の問題を出します。そして1、2、3のどれが答えか議論してもらう。そのうちAさんは最初に「答えは1じゃないか」と発言し、BさんとCさんも同調します。その中Dさんはいつも最後のほうに、「いや、みんなの考えは一見正しいようだけれども、論理的に考えると3が正しいよ」というんですね。そして確かに3が正しい。このようなトライアルを何度か繰り返すのですが、Aさんはたいてい一番早く答えを言うけれどあまり正しくなくて、Dさんはいつも遅いんだけれど正しいということが分かっていく。で、そのトライアルが終わった後、その4人でリーダーを選出してもらうのですが、誰が選ばれるかというと、Aさん。
佐々木 エーーーーーー!
中野 ダジャレじゃないですよね(笑)。
佐々木 驚きとダジャレ、両方です(笑)。Dさんが選ばれそうなのに…だって、正しく判断できる人こそリーダーに適任だと思いますよね。
中野 でも、まさにこの実験のようなことが、アメリカ大統領選で起きたわけです。みんなトランプは落選すると思っていたでしょう?
佐々木 思っていました。絶対にヒラリーだと思っていました。
中野 絶対ヒラリー・クリントンが選ばれると、皆思うんですよ。でも、私はドナルド・トランプが選ばれるだろうと思っていました。結果的にそのとおりになって、実験も捨てたもんじゃないなって思いました(笑)。確信のある人のほうが、正しいことを言う人よりも、皆の心を動かすという性質があるんです。これがサイコパスが使う特性です、非常にクリアな。
佐々木 意識してやっているということですか?
中野 そうですね。最近ではこの現象のことを「ポストトゥルース」(脱真実)と言うようです。本当のことなんか、別に知りたくないと。
佐々木 それよりは、確信させてくれるほうがいいと。
中野 そうです。例えば、キャバクラでバイトしている女の子に、「あなたはこうですね、ああですね」と正確に特徴を分析されるよりも、「いつも素敵ですね」と言われたほうが、全然嬉しいですよね。
佐々木 確かにそうですね。
中野 みんなそうなんです。そう言ってくれる人を待っていて、そう言ってくれる人を支持する。政治をよくしようとしてくれる人なんか求められていなくて、気持ちよくさせてくれる人が支持されるんです。大衆がそれを求めるから、SNSなどでこういうサイコパスが注目されるようになり、社会的な影響力も持つようになり、政治でも力を持ってしまう。こういう現象を読み解きたいと思って、この本を書いたんです。