バブル期の用地取得で抱えた含み損は解消される見通しだが、10兆円規模の有利子負債は残る。賃貸住宅の老朽化も課題だ。経営改善を続けつつ、公的機関としての社会的使命を両立していけるだろうか。(「週刊ダイヤモンド」編集部 岡田 悟)
「URであ~る」と歌うコミカルなテレビCMを見た読者も多いであろう。
URとは、国土交通省が所管する独立行政法人の、都市再生機構の略称だ。1955年に発足し、大都市でいわゆる「公団住宅」を供給してきた日本住宅公団などを母体として、2004年に現在の組織となった。
売上高に相当する「経常収益」や資本金は共に1兆円を超え、独法の中でも特に巨大な存在だ。その経常収益の内訳を見ると、事業は主に四つに分けられる(図(1))。
大都市や地方都市での再開発をコーディネートする「都市再生業務」と、賃貸住宅を管理運営する「賃貸住宅業務」。そして、かつて郊外でのニュータウン開発を担った「市街地整備特別業務」に加え、東日本大震災の被災地の復興住宅を整備する「震災復興業務」の四つだ。経常収益の過半を稼ぎ出すのは、テレビCMで家賃の割引やフリーレント期間の設定などのキャンペーンを訴えている、賃貸住宅業務となっている。