他人の問題よりも、自分事を優先?

 この調査によれば、生活者の約8割が「社会問題に関心がある」と回答しているが、その割合は年々低下傾向にあるという。詳しく見てみると、国内外で起きているさまざまな社会問題に「とても関心がある」とする層は、30.4%(2010年)から23.4%(2017年)へと大幅に減っている。「やや関心がある」層は57.0%(2010年)から53.1%(2017年)と微減だが、前者の数字から「社会問題への関心が大幅に減っている」と言ってもいいと思う。

 注目すべきでは年代別の回答で、「とても関心がある」のは、10代=14.5%、20代=19.0%、30代=27.5%、40代=25.0%、50代=25.5%、60代=29.0%である。10代の数字が低いのは予測どおりだが、注目すべきは「30代が、世代別では60代に次いで高い」という点だ。実は、この世代が2010年前後の社会貢献ブームを牽引していたと考えられる。今回の調査報告では明確になっていないが、同じ20代でもたぶん、前半と後半の世代では数字が違ってきているはずだ。僕の実感では、今の「20代後半」と「20代前半」の世代では、社会貢献に対する関心度が違う。これは、大学で社会貢献やCSRに関する講義をしていても感じる。4~5年前とは明らかに、学生の集まり具合いが違うのだ。

 またこの調査では、関心がある社会問題に関しても、「年金制度の崩壊」や「高齢者介護の問題」「インターネットが生む犯罪や不安」「国家財政の赤字」「雇用の不安定化」などが上位を占めている。年代別では、10代男性が「雇用の不安定」、10代女性と20代男性が「長時間労働」、20代女性は「年金制度の崩壊」がトップとなっている。ちなみに、20代女性の2位は「ワークライフバランス」だ。そして、30代以上は男女、年代を問わず、すべて「年金制度の崩壊」がトップとなっている。年金制度の崩壊や長時間労働はたしかに社会問題ではある。しかし、それらはすべて自分の生活にも直結する「自分事」であり、たとえば貧困家庭の子ども問題など、他者に関する社会問題への関心は薄いと言える。

 さらに、「何か社会のために役立ちたい」と思っている層も27.7%(2010年)から21.8%(2017年)へと減少。「あなたは普段、お住まいの地域やNPO団体/職場などで、社会貢献活動をしていますか」という質問に対する「よくしている」と回答した層は、2010年で5.9%。これが2016年には4.5%まで減少しているが、2017年は5.3%と復活している。また、「たまにしている」層は、2010年が9.8%、2017年が13.9%と増加している。つまり、コア層は増えていないがライト層は増えているということ。実際、コア層とライト層を合わせると2010年が15.7%、2017年が19.2%と増加しているのだ。これは「社会問題への関心は減っているが、社会に役立ちたいと思っている人たちは増えている」ということだ。

 ただしこれは、まだまだ十分な数ではない。社会貢献というものが本当に日本の社会に根付くかどうかの分水嶺に来ている――ことを意味している。つまり、社会貢献業界の関係者にとっては、まさに今が勝負時だということだ。しかしながら、前述のとおり、10代や20代前半の若者たちの社会貢献熱は冷めている。それはなぜかというと、「社会貢献やCSRがつまらない」からだ。なぜ、つまらないのか、CSRやNPOが退屈なのかと言うと、「この業界の人たちのマインドセットが、結局のところ変わっていない」からだ。

社会貢献熱が冷めた若者たち

 少し前、社会貢献業界で有名なある人物と話をしていて、彼がこのようなことを言っていた。「日本のNPO業界には、世の中のために良いことをしたい人しかいないんですよ」。読者の多くはこの発言を聞いて、当たり前だと思うだろう。良いことじゃないかと思う人もいると思う。しかし、そうではない。彼の発言の真意はこうだ。

 「日本のNPOには、世の中のために良いことをしたい人しかいない。本気で社会を変えたいと考えている人間はいない」