面接で「社会貢献をしたい」と訴える学生が増えているようです
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 仕事は何のためにするのでしょうか?

 米国の心理学者アブラハム・マズローが仮定した欲求5段階説でいう第一欲求「生理的欲求」のためと考える人は少なくありません。すなわち、生活のために「稼ぐ」のが仕事であるということですが、それは当たり前の発想でしょう。

 ただ、仕事も熟練するとともにマズローの唱える欲求は進化して、安全欲求、社会的欲求、承認欲求へと変化。最後には自分の能力を引き出し、創造的活動がしたいと思う自己実現欲求が生まれると言われています。

 では、最近の若手社員がよく口にする「社会貢献への欲求」。価値観が異なる上司世代はこうした欲求を訴える若手社員の取り扱いに困っていると聞きますが、互いにどう付き合っていけばよいのでしょうか。

「社会貢献」アピールする応募者は
絶対に採用しない人事部長(45歳)

「仕事を通じて社会貢献したい、というアピールで応募してくる若手人材が増えているのは、どうしてなのだろうか?」

 こう話しながら首を傾げているのは、大手データセンターの人事部長であるGさん(45歳)。この数年で新卒・中途採用にかかわらず、20代前半(若手人材)の応募者に志望動機を聞くと、「何がやりたいか?」を説明する際に登場するキーワードとして、「社会貢献」を挙げる人が急増しているからです。

 ちなみにGさんの会社では、他社と比べて社会貢献に関する目立った取り組みはしていません。空調効率の最適化で消費電力やCO2排出量の削減をしているくらい。入社しても大した社会貢献にはつながらないように見えます。

「それとも彼らは何か画期的な社会貢献のアイデアを持っているのだろうか?」などと詮索するものの、いろいろと話を聞いていくなかで、

「自己アピールの中で『社会貢献』について語ると、印象がいいと“誤解”しているに違いない」

 と結論づけました。どうやらGさんは「社会貢献したい」とアピールする人にネガティブな印象しか持っていないようです。もっとキツイ言葉を使うなら、Gさんは「社会貢献」を口にする応募者を毛嫌いしています。なぜなら、日々の仕事を通じて社会貢献している実感を得るのは無理だと思っているからです。