STEP3 費用がかかる「種」をまいてはいけない
金融機関から借金をしたり、本業の給料で副業の赤字を補てんしたりするようでは、うまくいかなかったときのダメージが大きくなります。
しかも、売れ行きが思うように伸びなければ、「もっと儲けを出さなければ」という心理的なプレッシャーもかかります。
そのためにも、初期段階では、できるだけ少ない資金でスタートすることです。
具体的には、自分のお小遣いの範囲内で済むようにするのです。
たとえば店舗をもてば、賃料や人件費がかかるだけでなく、在庫を抱える必要があります。
在庫はリスクをともないますから、できるだけ在庫をもたずに済むような「種」を探しましょう。
会社員の桜井宏昌さん(仮名)の長年の趣味は、漆器や陶器などの日本の伝統工芸品を収集すること。
自宅には旅先で買ってきた酒器や茶器、大皿が所狭しと並び、収まり切らないものはトランクルームに収納しています。
それらを、季節ごとに入れ替えて眺めるのが無常の喜びです。
その道15年。
いつしか、「各地の工芸品を販売する店をもちたい」という夢を抱くようになっていました。
そんなある日、趣味仲間から、「キミのイメージにピッタリの物件がテナントを募集している」との情報が入ります。
昭和の面影をたっぷり残す築50年の古民家に一目惚れした桜井さんは、ここに土日限定で店を出すことを決意します。
金融機関から借り入れをするなどして、なんとか無事にオープンまで漕ぎつけましたが、1年もたたないうちに事業は行き詰まることに……。
まずは「体力」が限界に達しました。
平日は会社の仕事、土日はお店で接客しているので、休みは祝祭日のみ。
最初は気合で乗り切っていましたが、オープンから8ヵ月後には、とうとう疲労でダウン。
次に降りかかった問題は「資金繰り」です。
週2日の営業では売上はたかが知れています。
また、伝統工芸品は高価なものも多く、そう簡単には売れません。
しかも、店の家賃や商品の仕入れ、出張費にもお金が出ていきます。
結果、10ヵ月目には、用意していた運転資金が底を尽き、会社員としての給料から補てんする事態に。
結局、両親から資金を借りるはめにもなりました。
そして、オープンから1年後。ついに桜井さんは、店を閉めることにしたのです。
●まとめ
「時間、手間、お金」の観点から「種」を選別する