STEP1 複数の種をまいてはいけない
IT企業で新人教育を担当している吉田孝弘さん(仮名)は、パソコンやインターネットに関する知識を活かして、週末にパソコン講師としての活動を始めることにしました。
会社の新入社員たちから「吉田さんは、パソコンソフトの使い方を教えるのが上手ですね」と言われたのがきっかけでした。
そこで、さっそく準備をして「新社会人のためのパソコン講座」の講習プログラムをつくったところまでは良かったのですが……。
心配性な吉田さんは「ターゲットを新社会人に絞ると広がらないのでは?」「もっと広く一般向けの講座もつくったほうがいいのでは?」と思い、「ゲーム音楽作成講座」「実践ネット通販講座」「画像処理ソフト講座」など数種類のプログラムを用意し、同時に募集したのです。
結果は、どの講座も惨敗に終わりました。
受講生が集まらなかったのです。
吉田さんがうまくいかなかった原因は、ひとつのプログラムに絞れなかったことにあります。
さまざまな講座を用意したことで、結局、「何の専門家なのか?」「どこに強みがあるのか?」が伝わらなかったのです。
「何でもできます、何でもやります」の何でも屋では、お金を払うほうも困惑します。
アトピーで悩んでいる人が、「内科も産婦人科も皮膚科も小児科もあります」という病院よりは、「皮膚科専門です」という開業医に診てもらいたいと思うのと同じです。