マーク・ピアソン

──3年前、ウィンタートウル生命保険を買収し、アクサ生命保険から銀行窓販部隊を移籍して、銀行窓販に特化したアクサフィナンシャル生命保険を設立した。それを今年10月、アクサ生命本体に吸収合併させることにした。方針転換した理由は何か。

 変額年金保険の販売がメインだった当時は、銀行窓販に特化した専門チャネルのほうが合理的だった。だが、リーマンショック以降、環境は激変した。運用環境の急激な悪化により、変額年金に対するニーズは以前より減少している。

 なにより、銀行の要望が変化してきたことが大きい。販売に当たって、ファイナンシャルプランニングを必要とする死亡保険や医療保険に対するニーズが増えてきているからだ。その要望に応えることができる商品を持っているのは、アクサ生命である。そこで、幅広い保険商品を提供するために、合併する決断を下した。

 つまり、市場の変化に合わせるための合併であり、銀行窓販チャネルが今後も長期にわたり魅力的なチャネルであることには、いささかの変わりもない。

──今回策定した中期経営計画の中で、今後の成長分野として4項目を掲げた。その中身は何か。

 まずは、中小企業マーケットの拡大だ。2000年に買収した旧日本団体生命保険(ニチダン)時代から続いている商工会議所との連携を強化する。たとえば、中小企業が直面している事業継承のセミナーを共同で開催するなどして、このマーケットを深掘りする。

 次に、退職者マーケット。これもニチダン時代からの財産である上場大手企業や官公庁の団体保険の加入者に対し、退職金の運用やライフプランのアドバイスなどを通して商品を提供する。

 3つ目は、先の銀行窓販だ。そして4つ目は、独身者マーケットの開拓だ。少子高齢化や晩婚化によって独身者が増えている。今までとは違う保険商品の提案が必要になる。それを新たに構築する。

──アクサグループの中で、日本はどのような位置づけか。

 アクサグループは世界56ヵ国でビジネスを展開している。日本での売り上げと利益は4位だが、新契約の獲得から得られる利益は世界でトップクラス。そもそも日本の保険マーケットは世界第2位の規模。日本はアクサにとって絶対にはずせないマーケットだ。

 今回の金融危機では、経営破綻したり政府の救済を受けた保険会社がある。だが、弊社は強固な財務基盤を誇っており、今後も日本で長期的なビジネスを展開していく考えだ。

(聞き手:『週刊ダイヤモンド』編集部 藤田章夫)

週刊ダイヤモンド