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コリア・ITが暮らしと経済をつくる国

韓国大統領選ネット上でも大激戦

虚偽ニュース横行で親族の和に亀裂も

趙 章恩 [ITジャーナリスト]
【第14回】 2017年5月29日
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フェイクニュースの温床と
化したソーシャルメディア

 Googleの調査(注1)によると、韓国のスマートフォン普及率は90%以上となっており、そんな国民の大半がスマートフォンを持つという国の実情を反映してか、ソーシャルメディア経由でのフェイクニュースの流通が大激増。各党の選挙対策は、専ら「虚偽情報や誹謗中傷の火消し」が最重要業務となってしまった。

 早くからインターネットが普及している韓国では、1990年代後半から選挙の度に、「インターネット世論を制する者が選挙を征する(=当選する)」と言われてきた。従来はパソコンでインターネットを見る人が圧倒的だったので、ポータルサイトニュースのコメント(「デッグル」=答えの言葉)欄こそが世論を盛り上げる重要な場だった。

 朴槿恵(パク・クネ)前大統領が誕生した2012年12月の大統領選挙では、国家機関である国家情報院と国軍サイバー司令部が、与党を擁護し野党を誹謗中傷するコメントを書き込む「デッグル部隊」を運営していたことが内部告発により発覚。責任者らは二審で有罪となった。

 そんなこともあって、選挙運動期間中は実名を確認してからコメント欄に書き込みをするよう法律が変わった経緯がある。

 今回の選挙では、ポータルサイトになり代わり、スマートフォンでアクセスしやすいオンラインコミュニティやソーシャルメディアが、フェイクニュースの温床となったのだ。

 ソーシャルメディアでシェアしやすいよう「工夫」し、写真と文字をまとめて1枚の画像にしたフェイクニュースが多かったのも新しい動きの一つである。


注1 : Google 「Mobile Apps in APAC: 2016 Report」 による

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趙 章恩
[ITジャーナリスト]

ちょう・ちゃんうん/韓国ソウル生まれ。韓国梨花女子大学卒業。東京大学大学院学際情報学修士、東京大学大学院学際情報学府博士課程。KDDI総研特別研究員。NPOアジアITビジネス研究会顧問。韓日政府機関の委託調査(デジタルコンテンツ動向・電子政府動向・IT政策動向)、韓国IT視察コーディネートを行っている「J&J NETWORK」の共同代表。
IT情報専門家として、数々の講演やセミナー、フォーラムに講師として参加。日刊紙や雑誌の寄稿も多く、「日経ビジネス」「日経パソコン(日経BP)」「日経デジタルヘルス」「週刊エコノミスト」「ニューズウィーク」「リセマム」「日本デジタルコンテンツ白書」等に連載中。韓国・アジアのIT事情を、日本と比較しながら分かりやすく提供している。

コリア・ITが暮らしと経済をつくる国

韓国の国民生活に、ITがどれほど浸透しているか、知っている日本人は意外に少ない。ネット通販、ネットでの納税をはじめとする行政サービスの利用、公共交通機関のチケットレス化は、日本よりずいぶん歴史が古い。同時に韓国では、国民のIT活用に対する考え方が、根本的にポジティブなことや、政府が規制緩和に積極的で、IT産業を国家の一大産業にしようとする姿勢などが、IT化を後押ししていることも事実である。

一方の日本は、どうして国を挙げた大胆なIT化の推進に足並みがそろわないのか。国民生活にITが浸透している韓国の先行事例を見ながら、IT化のメリットとリスクを見極めていく。

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