神戸メリケンパークから神戸のシンボルである赤い神戸ポートタワーを臨む

北は日本海、南は瀬戸内海
兵庫県民はその広さゆえ帰属意識が薄い?

 日本一県民意識が薄いという、なんとも不名誉な俗説もある兵庫県。「出身地を聞かれたら、なんて答えていますか」と聞くと、西宮市出身の女性(東京在住)は言葉を濁した。

「実を言うと、神戸って答えることがあります。西宮を知らない人もいるし、神戸ならわかりやすいので…」

 同じことを尼崎出身の男性に聞いてみると、「関西のほうです」と答えるという。

「関西のどこ、って聞かれたら、尼崎、って言いますね。同じ尼崎出身の友人は『大阪』って答えてる人もいるようです」

 尼崎の市外局番は大阪と同じ06だし、大阪の繁華街・梅田に出るのも10分程度。文化圏としては大阪と認識してもあながち外れてはいないのだという。

 そして神戸出身の人はというと、聞くまでもなく「もちろん神戸と答えます」。なぜみんな「兵庫県」と答えないのか。他県民からすれば、疑問だ。

 神戸から西に50キロほど離れた姫路の出身者に聞いて、やっと「兵庫」という答えが返ってきた。

「姫路を知らない人もいるし、姫路はさすがに神戸とは言えないので(笑)」

 県への帰属意識が薄い理由を探ってみると、どうやら二つあるようだ。
 
一つは兵庫と言っても広すぎるから。ここで兵庫県全域をおさらいしておこう。兵庫県は確かに広大だ。南北でいえば北は日本海に面しており、南は瀬戸内海に浮かぶ淡路島までが兵庫県。神戸地域・阪神地域(西宮市、伊丹市、尼崎市、宝塚市など)の知名度にはかなわないが、但馬、丹波、播磨という三つの地域があり、面積としてはこれらが圧倒的な大きさを占める。