意識していないと測定できない
測定できないものは改善できない

 測定は、意識していないとできません。たとえば、あなたがコンサート会場の運営スタッフだったとします。今日は人気バンドのライブの日。2000人収容の大ホールは、満員御礼の盛況ぶりです。お客さんが会場入りをした後、あなたは支配人から突然こう命じられました。

「男性客と女性客がそれぞれ何人いるか、教えてもらえる?」

 これ、なかなか難儀です。あらかじめわかっていれば、男性と女性で入場券の色を変えておくなり、入り口を分けて入場時にカウンターで測るなり、なんらか手立てを講じられたはず。後になって測れと言われても困ります。

 測定は最初の腹決めが肝心。意識していないと、データは蛇口から放った水のごとく、ただ目の前を流れていってしまいます。

『定義できないものは、管理できない。管理できないものは、測定できない。測定できないものは、改善できない』

 改善の祖、ウィリアム・エドワーズ・デミングの言葉です。何を問題視して、何を測るかを決めておかないと、測定もできなければ改善もできません。

「これが問題だ!」と思ったその瞬間から、何を測るかを定義し、測定を開始してください。

(この原稿は書籍『チームの生産性をあげる。――業務改善士が教える68の具体策』から一部を抜粋・加筆して掲載しています)