「なんとか環境を変えて、記憶を薄めたい」と考えたTさんの妻(30歳)は、ご主人を横浜に残し、教育環境を考えてスイスへの渡航を5月に実行した。
しばらくして「数日間知り合いの家にお世話になりましたが、いまは子ども好きのスイス人の家庭にホームステイしています。子どももすっかり元気を取り戻したようです」というメールが届いた。
親子共々、すっかりスイスに魅了されてしまったため、90日間の滞在を満了したあと、いったん日本に帰国後、再度スイスに向かうことにしたという。
また、スイスには「現地の受け入れ企業が決まっている35歳未満の人であれば、18ヵ月間の就労滞在を認める」という“ヤングプロフェッショナル制度”があることを知ったTさん。将来、家族揃ってスイスで生活できるように、現地での就職先を探すのに毎日奔走している。
夏はカナダ、秋は日本、
冬はニュージーランドのローテーション
「若いときに海外生活を夢見たものの実現できなかった」と話すFさん(67歳)は年金受給が始まったのを機に、季節ごとに滞在地を移動する生活を始めた。
「どの国にしようか」と悩むことはなかったFさん、その理由は昔の夢を果たせなかったことにある。実は30年以上前に始まった「海外で1年間自由に働ける“ワーキングホリデー”という制度」を知ったときはすでに対象年齢をオーバーしていたからだ。
その悔しさもあって、海外旅行に出かけるときは決まって当時の実施国であるカナダ、ニュージーランド、オーストラリアを選んできた。このため、当初は日本を含めた4カ国にしようと考えていたが、奥さんの「少しあわただしい」という意見も取り入れて、カナダ、ニュージーランド、日本の3ヵ国に決めたという。
移動のスケジュールは、夏は涼しくてベストシーズンとなるカナダのバンクーバー、秋は日本の自宅・福岡で紅葉を満喫、冬は南半球に位置するため日本と季節が逆になるニュージーランド。
もうすでに5年以上もこの“ローテーション”生活を送っている。こうした生活に奥さんも大満足。
移動するたびに環境も変わるため、新鮮さが持続して飽きることがないのが最も魅力的だという。万が一飽きてきても、今度は国を変えてのローテーション生活を続ける計画だ。