要約者レビュー
著者が社長を務める「株式会社川六」は、かつて明治10年創業の四国を代表する老舗旅館だった。それが時代の変化で廃業寸前になり、業態をビジネスホテルに変更したところ、見事経営を立て直した。
宝田圭一
195ページ
あさ出版
1500円(税別)
現在、著者は香川県、熊本県などで全5館のホテルを運営している。新規オープンの1店を除くと、どのホテルも当初はいつ潰れてもおかしくないほど経営状態が悪化していたが、いずれのホテルも1年で黒字化に成功させた。かつて平均稼働率が25%まで落ち込んでいたホテルも、半年後には稼働率をなんと80%にまで回復させたという。
著者はどのように運営の改善をおこなっているのか。
本書『地域でいちばんピカピカなホテル』によれば、その方法はいたって簡単だ。「挨拶」「掃除」「電話」の3つを徹底するだけである。だが、これらを徹底するだけで、リピーターは増えると著者は断言する。挨拶の声を大きくし、ホテルをピカピカにし、電話の応対を改善しただけで、売上が安定的に伸びるようになったというから驚きだ。
基本的に、本書はホテル業界について書かれたものだが、接客のためのヒントや働きやすい企業にするための方法など、誰が読んでも「なるほど」と思える内容になっている。
廃業寸前の旅館を立て直し、数々のホテルの経営再建に成功してきた著者の実体験に基づく経営の指南書は、どの方法も説得力に満ちている。「おもてなし」の精神の真髄が本書には込められているといえよう。 (池田 明季哉)
本書の要点
(1) お客様の声を拾うことで企業は変わる。お客様からの「ありがとう」がスタッフを生き返らせる。
(2) 「掃除」と「整理整頓」でやるべきことが見えてくる。毎日の掃除が「気づき」を生み、改善へつながる。
(3) 大きな声での「挨拶」がホテルの評価を上げる。挨拶が大きいスタッフはお客様からの評価も高い。
(4) 「電話」はホテルの顔である。どんなときでもそっけない対応をしてはいけない。いつも笑顔で大きな声を出して応対することが大事だ。
(5) お客様満足度より先に従業員満足度を上げるべきである。不満足な従業員にお客様の満足は追求できない。