子どもの性格は、母親のストレスに大きく左右される

父親が育児に参加することの一番のメリットは、「母親のストレス軽減」です。

0歳から4歳くらいまでにかけては、子どもと密接に関わる機会は母親のほうが多く、母子関係によって子どもの精神面・人格面の土台がつくられていきます。

ところが、母親が育児のストレスでいつもイライラ、眉間にしわを寄せて目を三角にしているようでは、良い子育てなどできないのです。

母親がイライラしていると、「ああしなさい!」「それはダメ!」という子どもへの命令・禁止言葉が増えます。これが子どもの欲求不満を大きくします。

さらに、母親がストレスを抱えていると、「早く!」「急いで!」という子どもへのセキタテ言葉が増えます。これは子どもに失敗体験を積ませます。

母親が疲れていると、「後にして!」「わがまま言わないで!」という否定言葉が口から出ます。これは、子どもの自尊心を奪うという最悪の結果を招きます。

しかしこれは、何も母親が悪いのではありません。多くの母親が子育てと家事と周囲からのプレッシャーに囲まれて、精神的な余裕を失っています。

母親がニコニコ、明るく子どもと接するためには、できる限りの「父親のサポート」が不可欠であり、子育てや家事の雑用を手伝う、子どもの習い事の付き添いをする、子どもの勉強を見てあげる、月に1日くらい父親と子どもだけで過ごし、母親に自由な時間を与える、何よりも母親の話を聞いてあげる、などの配慮と協力体制をつくっていかなければ子育ては円満にいきません。

7歳からは父親が、子どもを外に連れ出す

子どもが小学校に上がるようになると、だんだんと父親の役割は増えていき、子どもを家の外に連れ出してあげて一緒に身体を動かしたり、自然にふれあったり、いつもとは違う人たちと関わる機会をつくることで、子どもの社交性が育っていきます。

イギリスのニューキャッスル大学の「育児における父親の役割」調査によると、成長期に父親と多くの時間を過ごした子どもは知能指数が高く、社交性があり、より高いキャリアを得ることが報告されています。

また、マネージメント・パースペクティブズ・アカデミーが2015年に行なった調査では、父親と多く時間を過ごして育った子どもほど「自分の仕事への満足度が高い」という結果も出ています。

「仕事が忙しい」などの理由はもちろんあるかと思いますが、子育ては永遠に続くわけではありません。ぜひ、パートナーと協力して、子育ての体制をつくっていただきたいと思います。

(この原稿は書籍『世界標準の子育て』から一部を抜粋・加筆して掲載しています)