前回(7月27日)のコラムで書いたように、ビットコインの取引処理能力を高めるために、取引データの電子署名部分を別枠扱いにする「Segwit」を導入することが、ほぼ確実になった。
導入に不満を持ち、独自の仮想通貨「BitcoinCash」を分岐させることを表明していた中国の大手マイナー(事業者)らが8月1日に実際、分岐したようだが、この新通貨にどれだけの支持が集まるかは、疑問だ。
「Segwit」が導入されることにより、容量は約2倍に増え、処理能力が上がる。
しかし、2倍に増やした程度では容量はいずれ一杯になってしまうだろう。
では、どうしたらよいのか? この問題を解決する切り札は、ブロックチェーンの外で取引をする「ライトニングネットワーク」だと考えられている。
実は「Segwit」の導入は、これを実現するためにどうしても必要なことだったのだ。
利用拡大に重要
マイクロペイメントの仕組み
ウェブにおけるコンテンツの有料配布などのためには、マイクロペイメント(少額の送金)の仕組みが必要だ。
だがビットコインをそのまま使うと、取引ごとに少額ではあるが手数料がかかるため、実用になりにくい。
この問題を解決する1つの方法は、サービス提供者のサーバーにビットコインを「預託」しておく方法だ。その中から、必要に応じて少額のビットコインを、その都度支払うのだ。この取引は、いちいちブロックチェーンに書き込むことによって行なうのではなく、サービス提供者がサーバーのデータを書き換えることによって行なう。
この方法は、現在でも、ビットコインの同一取引所内の口座間取引で、実行されている。
しかし、この方式では、サービス提供者を信用することが前提だ。