「短時間で働きたい人はライフを重視する人であり、ワークを重視していない人だ」という偏見の壁離職率を約3割から5%へ激減させたサイボウズの「働き方改革」の真髄とは? 青野慶久社長(右)に小室淑恵・ワーク・ライフバランス社長(左)が聞く

民間企業にとどまらず、いまや官庁でも広がる「働き方改革」。世間に先んじてこの改革に着手し、産業界でも注目される成果を出してきたのが、グループウェアを開発・販売・運用するサイボウズ株式会社だ。「働き方改革」の論客として活動の場を広げる小室淑恵・ワーク・ライフバランス社長が、以前から親交のある青野慶久・サイボウズ社長に、その経緯を聞く。多くの組織が課題解決に向けて施行錯誤を続けるなか、同社の改革の成功ポイントはどこにあったのか。(まとめ/アスラン編集スタジオ 渡辺稔大、撮影/東原昇平)

離職率約3割が5%へ激減
「働き方改革」はなぜ成功したか?

小室 サイボウズさんは、働き方改革に取り組んで何年になりますか?

青野 2005年からなので、12年になります。当時は離職率28%の“ITどベンチャー時代”でしたね。

小室 今振り返って、何が最大の成果だったと思いますか?

青野 「採用」と「定着」だと思います。なんと言っても、働く人が自然に集まるようになった。世間がこれだけ人手不足の中、新卒・中途採用ともに極めて順調なのは、何にも代えがたい成果ですね。

小室 生産年齢人口が激減している日本において、企業の成長阻害要因は、とにかく人が採れないこと。それが、仕事の受注量の制約要因にもなっています。特に顕著なのが建設会社で、入札時点で要員の確保を証明できなければ落札できない。入札すらできない場合もある。働き方改革で採用に成果が出たというのは、一番の収穫と言えますね。ちなみに離職率は、28%からどこまで減少したんですか?