欧米を中心に世界経済の二番底懸念が台頭しているなかで、日本経済は堅調と見られている。外需依存型の経済構造との認識に加えて円高も進行しているため、かなり違和感を覚える見通しだ。
しかし、震災復興に伴う財政出動が、堅調な日本経済の原動力である。一時的にせよ内需・外需バランス型の経済構造に変化すると見込まれるならば、日本株の調整局面は注目すべきだろう。
世界の金融市場がリスク回避に動いた大きな要因として、米国政府の債務上限引き上げ問題や米国債の格下げ問題などが取り沙汰された。にもかかわらず、渦中の米国債が上昇(利回りが低下)したのは、それが問題の本質ではないことを示しているなによりの証拠。本質は米国の景気後退懸念だろう。
4~6月期の米GDP成長率(速報値)が発表された際、1~3月期が大幅に下方修正されたことは市場関係者を震撼させた。そのため米国において株安・債券高・ドル安になったと考える。
欧州でも以前から引きずっていたユーロ加盟国の財政問題に加え、金融機関の信用問題、景気減速懸念など悪材料がめじろ押しとなってきた。特に欧州経済の牽引役であるドイツの4~6月期GDP成長率が、ほぼ横ばいだったことに市場関係者は失望した。それゆえ、欧州では株安・ユーロ安になった。債券市場においては財政問題が一服したことから、問題国の債券は上昇に向かうだろう。
しかし、今度はフランスを中心に金融機関の信用問題が注目され、米連邦準備制度理事会(FRB)が調査する事態にもなったと報じられたことから、米国の金融機関にも同様の問題が再燃しかねないと心配されている。