高い目標のように見えるが、現在のところ計画通りシェアを回復している。

 17年4~6月期の車載用半導体売上高は前年同期比24.6%増とNXPの同9.3%増を上回った。

 ルネサスは中期成長戦略で市場成長率の2倍のペースで売上高を伸ばす目標を立てている。足元の好調さもあり、同社関係者は「倍速成長」の実現に自信を見せる。

 その根拠は、「2年以上は他社をリードしている」と同社が自負する車載用マイコンの微細化技術だ。

 微細化するとマイコンの処理能力が向上し、消費電力は少なくなる。その上、自動運転などで求められる内蔵メモリーの容量を増やせるため、他社との差別化要因になる。

利益・投資で勝る競合に勝つため求められるM&A

 ただし、今後も計画通りに成長するのは簡単ではない。世界の半導体業界では生き残りを懸けた合従連衡が行われているが、それがルネサスの逆風になる可能性が高いからだ。

 NXPは15年、マイコン業界4位のフリースケールセミコンダクタを当時のレートにして2兆円で買収。2位から1位に躍り出た。首位を明け渡したのがルネサスだ。

 さらに、巨額買収劇の衝撃が収まらぬ16年、今度は携帯電話用半導体メーカー最大手のクアルコムがNXPを買収すると発表。買収額は5兆円と、半導体業界史上最大の企業買収になる見込みだ。

 だが、この買収は欧州連合(EU)による独占禁止法の審査中のため、ここでは現有勢力のルネサスとNXPを比較する。

 図(3)を見てほしい。売上高、利益率ともNXPがルネサスを圧倒する。投資額もNXPが17年4~6月期で3億8100万ドル(約420億円)なのに対して、ルネサスは335億円と見劣りする。

 マイコンの微細化で先行しているとはいえ、この体力差を放置すれば挽回されるリスクは高まる。