“liking what you do and doing what you like”
さて、本題です。
前述の「キャリア教育アワード」の受賞は、私がSIJを通して提唱している、”liking what you do and doing what you like” (自分がしている仕事を好きになり、好きなことを仕事にする)にご賛同をいただいたことが理由の一つです。
好きなことを仕事にすれば、誰に言われることもなく、高いモチベーションをもって自分で学んでいきます。
音楽を例にあげると、小さい頃にピアノを習っていたことから、他の音楽仲間と知り合い、オーケストラや音楽グループに入って、留学して、尽きることのない音楽の旅を人生の糧としていく人もいるでしょう。
ここまではよくある話です。
この好きなことを仕事にする、を中心にしすぎると、「じゃあ、私の好きな美術や音楽で将来食べていけるのか」「スポーツでもごくわずかな選手しか成功しない」と悲壮感が漂います。
たしかに、好きなことを仕事にすればよい。しかし同時に、人生は一直線ではありません。
もっと豊かで複雑なものです。
何かに真摯に打ち込んでいるからといって、それだけがあなたの人生のすべてではないのです。
幸せな一生をすごすには、なんでも知って見てやろう、やってみようという気概が必要です。
SIJの5年間を振り返っても、ハーバードからやってきた学生は皆それぞれものすごい得意分野がありながらも、常に新しい発想や経験を受け入れる人たちでした。
つまり、今、音楽に夢中であっても、のちの人生でコンピュータサイエンスや有機化学やバンキングが好きになってもまったくかまわないのです。
そのくらいの柔軟性を持った生活がこれからの時代は必要です。
日本は、大学と就職でまるで人生の大半が決まってしまうかのような錯覚にとらわれがちですが、そんなことはあるはずもなく、人は、一生が学び、一生が成長なのです。
“liking what you do and doing what you like”(自分がしている仕事を好きになり、好きなことを仕事にする)、そうです。
好きなことを仕事にすると同時に、「自分がしている仕事を好きになること」ここがポイントです。
実は自分が好きなことの周辺領域には、自分に合った仕事が隠れているものです。
たとえば、私は子どもの頃から読書が大好きだったのですが、ふと気がつくと、英語の教材を作ったり、本を執筆したり、講演活動をしたりと、文章に関する仕事をしています。
自分が好きなことの周辺をよく観察してみると、関連する仕事が必ずあります。
その仕事をまずは小さなことから始めて、地味に続けて、好きになればよいのです。
SIJの活動から、人は一生が学び、ということを教えられています。