国勢調査データを分析し、日本の意外な素顔を解き明かす本連載。第3回目は、東京のど真ん中、東京駅や皇居、霞ヶ関を擁する千代田区にフォーカスを当てる。(ノンフィクションライター 和泉虎太郎)
就業者と学生が大量に集まる
特異な街・東京都千代田区
国勢調査の数字を分析していくと、さまざまな面で特異な値をたたき出す自治体の存在に気がつく。
東京都千代田区はその代表格である。千代田区は東京駅、皇居、官庁街の霞が関、ビジネス街の丸の内や大手町、そしてオタクの聖地・秋葉原、古書店やスポーツ用品の販売店が軒を連ねる神田といった地名が全国的に知られている、東京と日本の中心地である。
住民数に対して自治体内で働いたり通学したりする人の数の倍率、これを昼夜間人口比率というが、千代田区の場合、住民数5万8406人に対して、昼間人口は85万3068人、昼夜間人口比率は1460.6%で日本トップである。2位の大阪市中央区の488.4%、3位の東京都中央区431.1%の約3倍、平日の昼間には人口が15倍近くに膨らむ街なのである。最大の特異値はこれだ。
千代田区で昼間に流入する就業者は75万5565人。うち特別区(千代田区を除く22区)からの通勤者は30万7450人、東京都下からは7万2746人、他県から36万197人の内訳は、茨城県1.5%、埼玉県14.2%、千葉県115.1%、神奈川県15.4%。比率は1%以下だが、静岡県1920人、愛知県1015人、大阪府1273人という数字もある。
大手町のオフィス街、霞が関の官庁街などの存在を考えれば、大量の流入者の存在は想像に難くないが、意外な流入実態があるのは私立の女子中高生である。