アカハラ加害者はかつての被害者
大学のブラック職場化も原因に

 なぜ大学教授は、学生に嫌がらせをするのか? 御輿氏は、大学教授を取り巻く環境に問題があると分析する。

「そもそも、アカハラという言葉が生まれたのは、1995年頃。それまではアカハラという概念そのものがなかったので、極端に言えば、大学教授によるパワハラが当たり前の時代がありました。圧倒的な師弟関係の中で、付いていけなくなった者は容赦なく切り捨てられる。それでも歯を食いしばって耐えた人が今、大学教授という地位に登りつめているわけです」

 自分が受けた“しごき”のような教育を、そのまま今の学生たちに実践する。時代錯誤な教育方法は当然、今の時代ではアカハラになるというわけだ。

 一方で、現代の大学教授たちの労働環境が、かなり悲惨であることも、アカハラが起きる原因だろうと御輿氏は言う。

「大学の教員はほとんど休みなしという状況が蔓延しています。少子高齢化で子どもが少なくなっている分、教育以外での仕事が増えました。まずは研究の成果を挙げること、そして地域貢献。さらにオープンキャンパスで受験生を増やすということまで大学教授に課されています。これらの仕事は、大学側から教授への評価対象になり、評価が高ければ成果報酬が得られますが、逆に評価が低ければ、減給、解雇ということもあり得ます」

 研究の分野においては、常に成果を求められるうえ、他大学との競争にも勝つ必要がある。研究で実績を出せるかどうかは学生たちにかかっているため、教授の指導も厳しくなるということだ。

「たとえば理系の場合、毎日朝から晩まで研究室に閉じこもって成果が出るまで繰り返し実験をするということが少なくありません。教授からのプレッシャーを感じながら、毎日12時間以上研究を強いられた結果、うつ病になってしまったという相談者を何人も見てきました」

 しかし、御輿氏によると、アカハラは必ず解決できる問題だという。

「基本的に、アカハラは大学内で解決できます。問題があると感じたら、事務局なり、学部長なりに相談し、対応してもらえるよう求めましょう。実際に私のところに相談に来た学生さんたちの多くは、こうした対応でちゃんと解決することができています。泣き寝入りする必要はまったくありません」

 アカハラを完全になくすことは難しい。しかし、少子高齢化で学生の数が減っている今、アカハラをしている教育者は、自然淘汰されていくに違いない。そうなることを切に願う。