「この10年間でこれほど関心を集めたのは極めてまれなこと」
民間シンクタンクの東京財団が9月7日に行ったフォーラムは、当初の参加予定者200人を上回る240人が会場に押し掛け、急きょ別室でパブリックビューイングが行われる大盛況となった。会場内は中央省庁や地方自治体の職員、行政書士や司法書士などの業界団体関係者、学識者、議員などの熱気に包まれた。
これほど多くの関心を集めたのは、フォーラムのテーマが「所有者不明土地」だったことにある。
所有者不明土地とは、その名の通り、不動産登記簿等を見ても持ち主が誰なのか分からない不動産のこと。東京財団では2009年からこの問題の研究を続けてきた。
事態の深刻さが見えてきたのは今夏。今年6月に法務省が公表したサンプル調査の結果によれば、最後に登記されてから50年以上経過している土地が大都市で全体の6.6%、中小都市・中山間地域で26.6%に上ることが明らかになった。また、同月に民間有識者らによる「所有者不明土地問題研究会」(座長は元総務相の増田寛也氏)も、所有者不明土地の面積は全国の私有地の約2割に当たる410万ヘクタールとの推計を公表した。