音楽好きを惹きつける
豊かな音再現の要とは

 JBL原点の地、カリフォルニア州ノースリッジには今もプロフェッショナルおよびホームスピーカーの開発拠点がある。

 ここで初期のJBLは、ハリウッドが無声からトーキー映画に移行する時代、映画館向けのラウドスピーカーで成長した。60年代はスタジオモニターで、ミュージシャンやレコーディング・エンジニアに愛され、70年代にはホームスピーカーシステムの普及によって爆発的な成功を収めた。

 またJBLはロサンゼルス五輪やフットボールのアトランタW杯で音響システムの公式サプライヤーを務め、NASCARやメジャーリーグといったスポーツ興行でも採用されている。まさにアメリカン・エンターテイメントを音から支えている音響ブランドなのだ。

 

(左)JBLプロフェッショナルの視聴スペースでは、低音は内臓に響くほど。(右)壁埋め込み型のJBLラウドスピーカー。

 

「いいサウンドは、定義され計測されてこそ、作ることができる」と、音響リサーチ・フェローのショーン・オリーヴ博士は述べる。

 JBLの母体、ハーマンインターナショナルには社内で職種に関係なくリスナーを養成し、“いい音”を評価する仕組みがある。開発チームの外に、音を評価する人々を確保することで、スピーカーシステムのパフォーマンスを客観的に計測できる仕組みだ。

「(聴覚を通じた)主観には3つのポイントがあります。音色という高中低の帯域、ダイナミクスという出力のめりはり、指向性や広がりという音の空間性です」。

 訓練された社内リスナーはブラインド・テストで、スピーカーシステムの異なる特性を評価できる。それゆえに、ホームスピーカーやプロ機材のようなサウンドを、車載オーディオにも忠実に移しかえて再現できる。

 

(左)0周年を記念してリリースされた「4312SE」はスタジオモニターの名作「4310」の現代版(ペアで26万円)。(中央)今日のJBLは写真のようにヘッドフォンや軽快なBluetoothスピーカーまで幅広くラインナップ。(右)出力中のウーファー表面を塗り潰すようにレーザーを当て、挙動安定性を確かめる。柔らかでクリアといわれるJBL独特の音づくりを追及している。

 

 一方で試聴評価に至るまで、エンジニアが開発と実験の段階で繰り返すテストも徹底している。全帯域でコーンやウーファー、ドライバが設計通りに動くか。高、中、低音を同時に鳴らして、ウーファーやツィーターが互いに干渉したり、出力する音に歪みが出ていないか。

 音に味つけするのでなく、原音をいかに素直に鳴らすか、そのための実証主義的なアプローチが印象的だった。その場の空気だけでなく、聴く者の内面をも揺さぶるクリアで温かみある音は、ここから生まれるのだ。


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