日本史における明治維新の意義

佐藤 明治維新から約150年が経ちますが、明治維新は日本という国家にどのような影響を与えたのでしょうか。

クレイグ 日本のすべてを変革したといっても過言ではないでしょう。1853年まで日本は、アジアの一国にすぎませんでした。高潔なリーダーも不足していましたし、外から見れば、中で何がおこっているかもわからない複雑そうな国でした。ところが、幕末の15年間で、日本の現状について正しく理解している人たちが、一挙に権力を握ることになりました。明治維新は日本を、まるで別国のような国に変えました。西洋との比較の中で自国を見つめ直し、一気に変革していった。それが明治維新です。

佐藤 明治維新からすべてははじまったということですね。

『文明と啓蒙―初期福澤諭吉の思想―』 アルバート・M-クレイグ

クレイグ そうです。その後も日本は組織的に国をつくりあげていきました。西洋から良いところを取り入れて、独自の政治・経済・社会システムをつくっていったのです。

 明治維新前の日本人は、憲法を制定することなど考えもつかなかったでしょう。ところが、明治時代に急速な改革を進めた結果、大正時代の日本には、すでに憲法があり、政党がありました。薩長出身者による藩閥政治から政党政治へと転換し、民主主義が形成されていきました。明治維新をきっかけに、変化が変化をうむという流れができていったのです。

佐藤 明治維新は日本史の中で最も世界からの影響を受けた時期だといえるでしょうか。

クレイグ 世界とのつながりの中で考えれば、日本の歴史には2回、重要な出来事があります。一つは飛鳥時代(592~710)。この時代、中国から仏教、儒教、律令制度などが日本へと入ってきました。そしてもう一つが明治維新です。明治時代には西洋から様々な制度が入ってきました。通史でみてみれば、1回目は中国から、2回目は西洋から、国家統治制度を取り入れて、国づくりをしてきたのです。

日本の強みと課題

佐藤 日本の強みと課題は何でしょうか。

クレイグ 日本の強みは、世界の国々から良い制度や文化を取り入れて、自国のものに発展させていく能力です。中国、韓国、他のアジアの国々とくらべても、圧倒的に優れていると思います。