ロシアのボットによる政治ネタの
ツイートが140万回

 先週、連邦議会で開かれた公聴会で、フェイスブック、グーグル、ツイッターがロシア政府によるアメリカの世論操作のために好き放題に使われていたことが明らかになった。そして、大いに批判されたのは、それに対して3社共に長い間無策でいたことだ。

 アメリカは今、昨年の大統領選にロシアがどれだけ介入したかの話題で持ちきりだ。トランプ陣営の要職からようやく起訴される人物が出てきたタイミングで、この公聴会では一般の米国民が晒されたロシア被害の一端が明るみに出された。その手の込みようには、ある種感心するものがあるほどだ。

 例えば、2016年9月1日~11月5日の間に、ツイッターでは3万6746ものボットがロシアによって生み出されていた。ボットとは、AI(人工知能)によって自動的に発信を行う仕組みである。そのボットは同期間に140万に上るツイートを出し、これがアメリカで2億8800万回閲覧された。

 また、トランプとクリントン両候補による第3回ディベートの際には、トランプ派のボットがクリントン派のボットの7倍にも上るツイートを発信し、完全に打ち負かしていたようだ。

 フェイスブックでは、ロシア政府に関連した組織とされるインターネット・リサーチ・エージェンシーによって470ものアカウントが作られ、そこから3000件の広告が表示されていた。この広告がターゲットにしたのは、1140万人。だが、そこからシェアされるなどして、最終的には1億4000万人に到達した。

 このインターネット・リサーチ・エージェンシーは、「トロール工場」とも呼ばれ、クレムリン擁護のプロパガンダ的なコンテンツをばらまくことで知られている。何100人ものロシア人を雇い、中にはアルバイト気分でSNSのコンテンツを大量生産する若者も多数含まれている。

 フェイスブック以外にも、ツイッターには同エージェンシーに関連したアカウントが2752あり、またグーグルでは、18のユーチューブ・チャネルが同エージェンシーによって登録されているという。