子どもが開発リーダー
大人がそのサポーター

ロボコンで優勝した彼はここの正会員です。夏休みの間、VIVISTOPに入り浸ってダブルアームを開発していました。
彼は今、「アプリを作りたい」と言っています。ディープラーニングの画像認識処理技術に着目していて、「言葉のしゃべれない人でも口を動かせば、それを音声に変えて会話のできるアプリを作る」と。「ろうあ者向けアプリ」のアイデアには驚かされました。
他の子どもの取り組みを見ていても、創造力は大人以上です。新しいプロジェクトが山のように生まれ、子どもたちはさながら開発リーダーのような活躍ぶりです。
意外だったのが、大人のクルーたちも相当に成長していることです。子どもたちの「起業家精神」に心を打たれ、「うちの開発リーダーの進捗確認がきついんですよ」なんてこぼしながらも、喜々として手伝っています。僕が何かを言わずとも、高いモチベーションを維持しているのです。
クルーたちはこれまでに、タブレットで利用できるCADシステムを開発したり、プログラミング支援ツールを開発したりしてきました。次は画像認識の技術を習得しようと、日夜論文を当たっているほどです。
VIVITAを通じて僕が確信したのは、子どもの「できる、できない」は大人の主観でしかないことです。つまり、子どもができること、できないことを大人は決め付けられないということです。
子どもにとっては最新のテクノロジーも昔の技術も、目の前に並べば全て目新しいものに映ります。そこから生まれるアイデアには無限の可能性があるのです。
大人の皆さまは「どんなビジネスモデルなのか」と疑問に思うことでしょう。ですが、事業計画の類いは一切ありません。VIVITAの運営手法について次回お話しします。
構成/週刊ダイヤモンド編集部・小島健志