以前のITベンチャーは、創業時にコンピューターやソフトウエアの社内開発環境を整える必要があり、開発人員も多く必要だった。創業間もないのに億円単位の資金調達が必要だった。

 だが、クラウドが普及し始め、スマートフォンと連携した基本アプリケーションが立ち上がると、新しいサービスを立ち上げるのが著しく速く、簡単に、そして低コストになった。これを「リーン開発」と呼ぶ。

 例えば、地図情報と位置情報の基本アプリを連携すれば、スマートフォン上のナビゲーション(道案内)サービスが簡単に作れる、という具合だ。

調達額は100分の1へ

 その後「リーン開発」が普及すると、100分の1の創業資金で開発ができるようになった。

 一方、既存のVCは、過去の成功により資金が多く集まったことで、ファンドが1000億円規模に肥大化していった。ファンドの規模が大きくなると、細かな投資はできなくなった。

 結果、VCに役割分担がなされた。企業の創業期から成長期への入り口(アーリーステージ)での投資は、新興VCが担う。一方、企業の資金需要が急拡大する成長期(レイトステージ)での投資は既存のVCが行うという形だ。

 少額の資金調達ニーズの拡大により、マイクロVCはここ10年で約400社にまで増えた。その興隆により、起業に拍車が掛かり、米国では毎年数千社のベンチャー企業が誕生している。

 これからは、フィンテックやAI(人工知能)、ビッグデータ、IoT(モノのインターネット)などITが経営モデルを引っ張る時代となる。その最先端技術はマイクロVCに触れることで知ることができる。

 日本企業としても、目を外に向け、マイクロVCの存在を知り、出資や提携などにつなげて、インナーサークルに入っていくことだ。そうすれば、「謎のベンチャー企業」はもうニュースにならなくなるであろう。

*「週刊ダイヤモンド」2017年10月7日号からの転載です