始める年齢なんて関係ない!
学校で学んだ手持ちの英語を活かす「運用力」
僕がシンガポールでの懇親会にたったひとりで参加することになり、自分でやるしかないという状況になったとき、頭はどう働いたか。
まずは話す内容を極力シンプルにして、手持ちの英単語でなんとかカバーするように考えます。僕がこのとき口にしていたのは、せいぜい中学生の教科書に出てくる程度の簡単な単語ばかりでしたが、それでも十分に話は伝わったしコミュニケーションも取れました。
この、話をシンプルにまとめて手持ちの英語でなんとか伝えようとする力。これが英語の「運用力」というものです。「運用力」が上がると、実力以上にコミュニケーションが取れるようになります。学習して英語の実力をコツコツとつけていくのと同じぐらい、この「運用力」は本番であなたを支えてくれます。
では「運用力」を上げるにはどうすればいいか。
これはもう、単純にたくさん話せばいいんです、外国人と。間違ったり言葉に詰まったりしながらも、手持ちの英語で自分から話すことに自分を馴らしていく。そうやって積極的に自分の脳の英語を司る部分を鍛えていくと、手持ちの英語で考えを伝えるという作業に集中できるようになり、自分の英語の下
手さがどうとか、そういった余計な心配をしなくなる。集中していれば、そんな余裕はないはずですから。
するとあるときポロっと恥ずかしさという心の重しが取れ、「運用力」がグンと上がるんです。
意外に思われるかもしれませんが、日本人は英語に対して苦手意識を持つ必要はまったくないと僕は思っています。
僕が海外で実感することは、日本の受験英語は実はかなり有効だったということ。「あんなに一生懸命勉強したのに全然使えない」とか、「努力がまったくの無駄だった」などという声をよく聞きますが、実はそんなことはなくて、むしろ英会話を上達させるための強力な後押しになり得るのです。
文法を基礎から勉強し、単語や熟語、構文などを山のように詰め込んできた私達日本人は、そもそもの地の英語力がかなりハイレベルです。確かに会話は不得意かもしれませんが、それはアウトプットに慣れていないだけの話。頭の奥の隅の方には、かつて必死に貯め込んだ英語の知識がたっぷりと眠ってい
るわけですから、それを引っ張り出してバンバン活用できるように鍛えればいいだけの話です。
なんとかしたいという思いは、年齢なんてまったく関係ありません。そう、英語を始める年齢なんて本当にどうだっていいんです。
「もう私は50才だから、記憶力も落ちているし英語なんて覚えられない」と年齢をいい訳に尻込みする人がいますが、そんなのナンセンス。単なる言い訳ですね。
もちろん気弱になるのはよく分かります。実際僕も50歳でトレーニングを始める前までは「やっぱり記憶力は落ちているだろうし、ある程度英語をものにするには時間がかかるだろうなあ」と覚悟していました。
でも、始めてみるとそんな心配は杞憂に終わりました。年齢なんて関係ない。むしろ、結構英語ができるようになっている自分に驚いて、嬉しくなるぐらいです。
始める年齢なんかよりずっと大切なこと。それは、学ぼうという意欲とそれを持続させることです。英会話なら「悔しい、伝えたい」という気持ちをいかに強く長く持ち続けられるかどうか。これにかかっていると言っても過言ではない。
継続は力なり、という言葉そのものなんです。
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「百ます計算」で有名な陰山英男氏による、大人のための英語学習の実践マニュアル。著者自身が50歳から英語学習をはじめて、苦労や挫折を重ねながら勉強を重ね、とうとう国際会議で英語でスピーチをするに至るまでの話と、そこから生まれた大人のための英語学習のオリジナルメソッドが満載の1冊です。
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