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大きな地図に書き込む

上田 シナリオと並んで、大きな地図を描くことも重要です。いつも大きな地図を描いておき、そこにオープンソースを基礎として、一見関係ない事象も考慮に入れながら、できるだけ多面的に、さまざまな事象を当てはめて、大きな地図の中で考え続けるのです。

 新しい何かが起こったら、それを大きな地図の中に自分なりにマッピングしてみる。こういう訓練も非常にためになります。前編で「情報はタイミングが大事」と申しましたが、情報分析官はいつも大きな地図を頭の中に持っていて、ある目的に沿ったインテリジェンスを求められたら、大きな地図の一部を必要なタイミングで切り取ってインテリジェンスとして上げているのです。

秋山 それはビジネスにも活かせますね。今している仕事は会社の目標の中でどういう役割を果たすのか、あるいは自分は会社のこのチームでどういう役割なのか、会社は業界の中でどのような位置付けなのか、業界は日本社会、あるいは世界や社会にとってどういう価値を生み出しているのか、など、大きな地図の中で考えるということは常に必要ですね。

上田 最後にもうひとつ。「なぜなぜ分析」も是非使ってほしいです。

秋山 トヨタ自動車の「なぜを5回」みたいですね。 

上田 必ずしも、リスク管理のような場面でなくとも、ある事柄がなぜ起こったのか、なぜその人や組織はそういう行動をとったのかという要因を考えるのに有効です。例えば、中国の尖閣諸島の領有権主張について考えてみます。

1)なぜ中国は尖閣諸島の領有権を主張するのか?
⇒尖閣諸島周辺海域の石油が欲しいから。

2)なぜ石油が欲しいのか?
⇒経済成長を持続・発展させたいから。

3)なぜ経済成長を持続的に発展させたいのか?
⇒貧富格差の是正、失業者対策により社会を安定化させたいから。

4)なぜ社会を安定化させたいのか?
⇒社会が不安定になると共産党政権の存続の安危を揺るがすから。

 以上の「なぜなぜ分析」から、中国が尖閣諸島の領有権を強硬に主張しているのには、共産党政権の存続という根本理由があると分かります。領有権主張には共産党政権存続のための求心力確保という効用もあるので、仮に石油資源の問題が解決したからといって中国側の領有権の主張が止むはずはありません。