凍死と熱中症で年1700人
見逃せない天候変動

 ここまでに述べた、死者数上位の4つの要因ほどではないが、凍死や熱中症での死亡も少なからず発生する。16年は凍死(統計上は自然の過度の低温への曝露)が1093人いた一方で、熱中症(自然の過度の高温への曝露)は621人だった。この年は凍死の方が多いが、熱中症には注目すべきポイントがある。年間の最高気温および最高気温が35度以上の日数によって数字が大きく動くことである。

 たとえば、09年の熱中症死者は236人と少ないが、東京の最高気温は34.2度で、35度以上の日数はもちろんゼロ。翌10年は、後に「観測史上最高の猛暑」と呼ばれるほどの異常気象となり、東京の最高気温37.2度、35度以上の日数は13日を数えた。この年、死者数も1731人と、前年の7倍以上になった。

 凍死者はどうか。札幌の気温データを使って検証すると、07年は最低気温−9.4度、最高気温が零度以下だった日は30日と平年よりは温かく、凍死者693人と少なかった。最近のピークは12年、1294人だが、それぞれ−13.5度、59日。寒さとの相関関係は認められるが、数の変動は熱中症ほど大きくないことがわかる。

 最後に、少ない死因を見ていこう。

 死者数が20人以下となっている外因性の主な死因を表にまとめた。レアな死に方といえるだろう。

 食糧の不足、つまり餓死が15人、これは多いか、少ないか。毎年310万人の子どもが栄養不良で死んでいるという数字が世界の飢餓事情を説明するために使われることが多いが、それに比べれば日本は格段に恵まれているといえるだろう。

 ハチに刺されたという事例が19人、毒ヘビ毒トカゲが4人、犬に噛まれたのが2人、ネズミが1人いるが、16年にムカデ、サソリ、毒グモなど、ほかの有毒生物に噛まれて死んだ人はいない。