子どもの学力と親の経済力で
決まる「教育熱心なエリア」
都市圏では、今や中学受験が当たり前になった。受験にとって理想的な環境で子どもを育てる手っ取り早い方法は、中学受験率の高い公立小学校の学区内に引っ越すことだったりする。
一部の公立学区には、教育熱心でお互いの意識が近い人たちが集まる傾向があるからだ。中学校受験までを見据え、優れた教育環境を子どもに与えるために、そうした公立学区に引っ越そうという人が増えている。これを「公立小移民」と呼び、NHKの『クローズアップ現代プラス』でも取り上げられた。
そんな数ある公立学区の中でも、最も教育熱心なエリアはどこだろうか。その判断材料の1つとして、親の年収がある。子どもの学力に最も影響している要因は、実は親の経済力だったりする。教育にかける資金と時間が、偏差値を押し上げるからだ。実際、学区内平均年収と進学塾の小学校別成績のランクはきれいに相関する。教育に投じる資金と時間に比例することの証明でもあるが、それについては当連載の過去記事「小学校の『学区別世帯年収』と人気住宅地域との知られざる相関関係」や「教育熱心な親が大宮ではなく浦和に家を買う理由」に詳しい。
こうした学区内でマンションを購入すると資産価値が落ちにくいことを、筆者は以前から指摘してきた。自宅購入を考えている人、自宅を引っ越そうと考えている人にとって、公立学区という観点での家探しは、最も理想的な「自宅戦略」の1つなのである。
今回はそれを実数値で証明すべく、高年収の学区域で分譲されたマンションの資産価値を評価し、解説する。