子どもの教育にとって住環境は大切だ。子どもの教育環境を重視する人は、どんな属性を持ち、どんな場所に住んでいるのか

 今や中学受験は当たり前になった。2月1日の受験日には9割の生徒が学校に来ない“名門”公立小学校も多数存在する時代である。中学受験に有利な公立小学校に子どもを入学させるために引っ越しをする親が増えており、これを「公立小移民」と呼ぶ。自宅選びは公立小学校選びとも言えるのだ。

 そこまで親が子どもの中学受験に執着するのは、学歴が人の生涯の生活水準に多大な影響を及ぼすことを、身をもって理解しているからと思われる。

 今回は住宅選びと教育の関係について、その縮図となる埼玉県の家族世帯をクローズアップし、分析しよう。分析に使うのは、親の学歴、平均年収、子どもの中学受験率、そして学区年収といったいくつかの指標だ。

 子どもの教育環境を重視する人にとって、自分と同じ意識を持つ世帯がどんな属性を持ち、どんな場所に住んでいるかを知ることは、自宅選びの際に参考になるはずだ。

住宅選びと教育の関係を
親の学歴や年収から紐解く

 まずは、日本における学歴と平均年収の関係を見てみよう。ここには、明確な相関関係がある。日本全体で見ると、日本の平均年収は304万円だが、大学・大学院卒は全国平均と比べて22%多い372万円、一方中学卒は20%少ない244万円となる。この年収差は128万円で、この水準が50年続くと生涯賃金の違いは6400万円となる。

 大学卒が55%を占める社会においては、大学卒を比較対象とすると、高専・短大卒は▲4800万円の差、高校卒は▲5450万円の差となる。大学を卒業しておかなければならない理由は、このへんに現れている。