そこで、ジャパニーズカレーのおいしさの理由を明らかにし、体系的に整理し、そのための手法についても開示されることが望ましい。さらに、誰でも再現できるように、手引書や便利なツールなどが商品化されるとなおよい。

 じつは、著者自身の立ち上げた「AIR SPICE」というサービスは、「カレーのオープンソース化」を意識した取り組みでもある。このサービスは、毎月、本格カレーを作れるレシピつきのスパイスセットが自宅に届くというサービスだ。レシピとスパイスは、著者自身がこれまでの知見を駆使して開発したものである。こうしたセットを使うことで、だれでもカレー作りにおけるプレーヤーになることができる。

 プレーヤーが増え、それぞれがトライ&エラーをして、イノベーションが生まれれば、新たなスターが誕生する。そうしていくうちに、ジャパニーズカレーはさらに進化し、世界中で愛される料理のひとつになるだろう。

一読のすすめ

 日本人ならば誰もが知っていて、誰もが食べたことのある「カレー」。インド発祥の食べ物であることは知っていても、イギリスを経由して明治時代に伝わっていたという歴史などは、意外にも知られていないのではないだろうか。知っているようで知らないカレーの真実が満載の本書を、ぜひ楽しみながら読んでみてほしい。世界に発信したい日本のカルチャーのひとつとして、カレーに注目してみると面白いのではないだろうか。

評点(5点満点)

著者情報

水野 仁輔(みずの・じんすけ)
AIR SPICE代表。カレースター

 スパイス&カレーの専門家として、日本全国各地のイベントに出張して、ライブクッキングを行ったり、「カレーの学校」の講師をするなど、幅広く活躍している。『カレーの教科書』(NHK出版)、『スパイスカレー事典』(PIE BOOKS)などカレーに関する著書は40冊以上。

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