さて、いろいろ述べてきましたが、ここで最も言いたいことは、「風呂水をためましょう」という言い切りの防災情報は、生活に密着しない情報になるので、実施されにくいということです。防災情報は何かとベストを求められることが多いのですが、それだと「私にはできそうにない」と思われてしまって、「だから防災はやりたくない、話も聞くのもうんざり」と全否定されがちです。

 だから、「風呂水はためたほうがいいこともあるけど、ためない方がいい場面もある。どうしたらいいか、具体的に考えてみよう」という、その人の生活の中で実施してもらいやすい情報に変わっていけばいいのになと思うのです。

 例えば、赤ちゃんがいるのでお風呂に水は貯められないけど、チャイルドロックがある洗濯機には、風呂水を移動してつけ置き洗いとして、過炭酸ナトリウムを入れて菌が繁殖しない形でなら保管できるかも……という話し合いならできそうです。

 世代間や価値観の争いにならないためにも、どちらが正しいか否かではなく、また、嘘とかホントとかの2項対立の情報ばかりではなく、それぞれの事情をゆっくり聞いて、話し合って、一緖にできることを考えていく。そんな防災情報だと、人と人を繋げることができるのにと思うのです。防災情報は使い方次第で、争いのもとになったり、共助にもなる、そんな問題も考えていただければ嬉しいです!

 もっとも今回は「じゃあ、具体的に水対策どうするの?」ということについて、ほとんど触れられませんでした。風呂水ほどの大容量が日常的に貯められると、配管確認後のトイレや生活用水に役立つことはいうまでもありません。でも、それを簡単に代用する方法は残念ながらまだまだ開発途上という印象です。

 給水タンクの耐震性やスロッシング対策、雨水確保の手段や、あんまりためられないけど、アウトドアの知恵でおなじみ結露利用方法、それから、驚きの水が作れるアウトドア仕様の防災カーになどについて、動きはありますので、いつか書きますね(←防災でやってはいけない、問題の先延ばし!)

 それではまた!

あんどう・りす/阪神大震災被災体験とアウトドアの知識を生かし、2003年より全国で講演活動を展開。当時誰も提唱していなかったが、現在では当たり前になっている毎日のカバンを防災仕様にというアイデアを提案。特に子育てグッズと防災グッズをイコールにしてしまうアウトドア流の実践的な内容が好評。楽しくて実践したくなる、毎日の生活を充実させるヒントがたくさんあると親たちの口コミで全国に広まり、毎年の講演回数は100回以上。著書に『りすの四季だより』(新建新聞社)がある。