――それにしても、近年の日本女子卓球界は、石川・伊藤・平野に早田ひな選手(世界ランキング11位)を加えて、ハイレベルな競い合いになっています。その結果として日本女子としての国際競争力も向上していくという、理想的な状況になっていますね?

石川佳純、平野美宇、伊藤美誠…強い卓球選手は「理解力」が違う村上恭和(むらかみ・やすかず)/1957年広島県尾道市生まれ。近畿大学付属福山高校から近畿大学に進む。一貫して卓球選手として活躍。和歌山銀行の卓球部で現役生活を終え、31歳のときにママさん卓球の指導者として独立。その指導力が買われて、1990年に日本生命女子卓球部監督に就任。6年後に日本一になって以来、日本リーグで31回の日本一に輝く。96年に日本女子代表コーチに就き、北京五輪後の2008年10月に監督就任。2012年8月、ロンドン五輪において日本卓球界悲願の初メダルを獲得。2016年8月のリオ五輪でも銅メダルを獲得して、2大会連続のメダル奪取を達成。現在は、日本生命女子卓球部総監督。その戦略立案やチームづくりに力を注ぐマネジメント・スタイルがスポーツ各界はもちろん、ビジネス界からも注目を集めている。著書に『勝利はすべて、ミッションから始まる。』(WAVE出版)がある。

村上 健全な競争関係が築けている、ということですね。競争がなければ、選手は成長しませんが、競争があればいいというわけではありません。足の引っ張り合いのような競争関係では、お互いにつぶし合うような結果しか生まれない。やはり、互いに高め合うような健全な競争関係をつくり出すことが重要なんです。

 たとえば、平野はリオ五輪の補欠として、福原・石川・伊藤がメダリストになるのを間近で見て悔しい思いをしました。しかし、それで奮起した平野が劇的な成長を遂げて、去年、全日本で石川を破って初優勝。さらに、世界チャンピオンの中国選手・丁寧にまで勝ち、世界的な旋風を巻き起こしました。

 その陰で悔しい思いをしていたのが伊藤です。平野が優勝した全日本では早い段階で敗退。その後、世界的に脚光を浴びる平野を悔しい思いで見つめていたはずです。今度は、これで奮起した伊藤が劇的な成長を遂げて、今回の全日本で3冠を成し遂げた。

 まさに、切磋琢磨。非常に健全な競争関係です。いまの日本女子卓球は、非常によい状況にあると思います。

強くなる選手を見つけ出す方法とは?

――ところで、いまの日本卓球界は、小学生の大会で頭角を現した選手が、そのまま大きくなって活躍している印象がありますね?

村上 そうですね。小学生の大会で優勝する子たちは、6年生の段階で、すでに7~8年のキャリアがありますから、卓球はもう完成されています。もちろん、そのあと体はどんどん大きくなっていきますが、フォームが変わった子を見たことがない。技術だけでなく、試合に勝つ力、メンタルなども含めて、総合的に完成されています。

 そのあとは、その完成された形を磨き上げ、より大きく、より強くしていくプロセスなんです。そして、小学6年生の段階で確立された「成長角度」のまま選手は強くなっていきますから、小学生の時点で強い選手が「将来強くなる選手」である確率は非常に高いと言えるでしょう。

――ということは、その段階で強い選手を見出すことが、卓球界を強化するうえでは重要なわけですね?

村上 そういうことですね。