村上 その礎を築いたのは、荻村伊智朗(元世界チャンピオン、元国際卓球連盟会長)さんです。荻村さんが、強い選手を見出すために、30年も前に小学生の全国大会を作ったんです。その先見の明は見事なものです。そして、その大会でチャンピオンになった選手を育成すべく、実に多くの人々が努力してきたのですが、その形がかなり整ってきたことが、日本卓球のレベルが急激に上がっている大きな要因となっています。

 つまり、卓球のプロフェショナルがエリート育成する仕組みが整ってきた、ということです。約20年前にスタートしたミキハウスJSC、2008年にできたJOCエリートアカデミーをはじめ、いくつものエリートを育成する場所が全国に増えてきました。6年前には、僕も関西卓球アカデミーをつくって、そこで育ったのが伊藤です。平野や早田もそのようなアカデミーで育ってきました。

 そこでは、1人の選手に対して、技術、トレーニングなど分野別に複数のプロコーチが指導、育成します。選手たちは、練習場の寮に住んで近くの中学校に通いながら、学校では練習せず、アカデミーで練習をする。このように、強い選手を小学生の段階で見つけて、エリートとして英才教育を行うわけです。

――なるほど。日本が強くなる仕組みが出来上がってきたというわけですね。ところで、村上監督が小学生の選手を選考するときに、どのような基準でその素質を見極めているんですか? 

村上 大会の成績ですね。

――成績だけ、ですか? センスとかパワーとかメンタルとか、目のつけどころがあるのではないのですか?

村上 いえ、要するに、成績のいい子が伸びるんです。なぜなら、勝つという能力が優れているからこそ、いい成績を残すからです。練習を見ていたら、全国大会に出るような選手は全員上手いですよ。だけど、練習でどんなにすごいボールを打ってても、試合になるとなかなか勝てない選手がいる。端的に言うと、それは卓球の総合力が足りないからです。

 これは、個人スポーツである卓球の特徴です。チームスポーツであれば、総合力では劣っていても、何かひとつの能力が秀でていたら、それを生かせるポジションにつかせればいいでのですが、卓球は個人スポーツだから、個人で勝つ力が必要。何か一つ優れていても勝てない。心技体の総合力がなければ勝てないんです。

 つまり、勝つ選手が強い、ということです。当たり前のようですが、長年選手を見てきて、これが私の最終結論ですね。