では「成果」として何を求めるか。

 北朝鮮が「非核化」の意思を明確にし、2005年9月の六者協議共同声明(検証できる形での非核化・朝鮮半島における平和体制・日米との国交正常化・経済協力・信頼醸成などのための作業開始)に戻ることについての合意ができれば成果と言えるだろう。

 しかし2005年9月の共同声明は、その後、検証方法で合意ができず、結果的に履行されなかったし、北朝鮮は2006年10月以降合計6回の核実験を繰り返した。

 したがって今回は、核・ミサイル実験の凍結は当然のこと、放棄に向けての検証方法や時間的目処も明確にすることが好ましい。

 北朝鮮は、非核化の意味するところは北朝鮮の核放棄だけではないとして、在韓米軍の撤退や米国から攻撃されない保障を条件付ける可能性もある。

 さらに朝鮮戦争後の南北の停戦合意を平和条約とすること、米朝・日朝の国交正常化についてのコミットメントを求めるのだろう。

 しかしこのような具体的事項については、相当緻密な実務的協議が必要になる。米国だけで決められることでもない以上、いずれかの段階で北朝鮮・韓国・中国・米国・ロシア・日本からなる六者協議を復活させる必要があるだろう。

 つまり、米朝首脳会談は実現しても一回の会談で物事が決するわけではなく、今後の長い非核化プロセスの始まりとなる可能性が高いと言うことだ。

 ここで致命的に重要なことは、これまでの核交渉の歴史から見ると、北朝鮮は何時でも核開発に戻る余地を残そうとするだろうし、それゆえに北朝鮮が検証を伴う形で核放棄の行動に入らない限り、制裁圧力は緩めてはならないということだ。

 日本では、米国が北朝鮮の核開発を凍結したまま、米国にとっての直接的な脅威であるICBMの制限だけの合意を作るのではないかという懸念を口にする人ももいる。

 しかし非核化が実現しないような合意は成果とは言い難く、また同盟国である日本・韓国やそこに居住する多くの米国人を脅威にさらすような合意を米国が作るとは考えられない。